綺麗で強くて小悪魔で。私にないモノいっぱい持ってるじゃん。
のっちの言葉が頭に響く。
のっちだけは違うと信じてた。
あたしの本質を見抜いた上で好きになってくれたんだと、
……信じたかった。
あたしは綺麗じゃない、
あたしは強くない、
あたしにないモノいっぱい持ってるのはのっちでしょ?
K『な〜んてね。』
N『?』
K『合コンなんか行かないよ?』
N『ゆかちゃんっ。』
心底嬉しそうな顔。
K『意地悪言ってみたかっただけ。』
N『もうっ、洒落になんないって。』
うん、洒落で言ったつもりないし。
思いのほか、のっちの言葉が胸に突き刺さって抜けないトゲになってる。
チクチク痛むそれを抱えながら笑顔で向き合うなんて訳ないよ。
でもね。
のっちにとっては些細なトゲでも、
長年かけて石をうがつ雨垂れのように、確実にあたしの心はえぐられていく。
それによる変化にのっちが気付かないほど鈍いとはあたしには思えない。
携帯の画面に映し出される文字に少し胸がホッとする。
あたしは独りじゃない。
あたしと同じような想いをしてる人が他にもいる。
皮肉にもその安堵感は、
最愛の人であればある程得られないもので。
K『もう、こんな時間だし今日は帰るね。』
N『え?帰っちゃうの?』
泊まる事が当たり前のようになってるこのぬるい空気が、肌にべったり絡み着いてあたしを不快にさせる。
K『明日早いしね。』
優しい口づけを落とせば、彼女は言う事を聞く。
そんな従順なとこも愛しくて苛立ちを覚える。
一刻も早く帰ってシャワーを浴び、肌に絡み付く惰性を洗い流してさっぱりしたかった。
(続く)
最終更新:2009年05月25日 22:56