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初めて彼女を見たのは、友達に連れられたバー。

カウンターの一番端の、間接照明もうっすらとしか当たっていない場所。
そこにいた彼女は何をするでもなく、ただぼんやりと頬杖をついていた。

横顔が、綺麗だと思った。

そして、サラサラ流れるような黒髪は華奢な肩に良く映えていた。


…誰かと待ち合わせなのかな?
彼氏いそうだもんね、なんとなくだけど。

なんて、友達と話をしながらあたしは、彼女を気にしていた。
ちらりと横目で見ては、彼女に何も変化がない事に何故か安堵した。


それからしばらくして、その彼女に近寄る女性が視界に入った。
彼女はにこりと笑って席を立つ。どうやら待ち人が来たようだ。


相手の女性は彼女より幾分か背が高くて、肩幅が少し広く、ショートカットの似合うクールそうな印象の人。

…友達、なのかな?それとも…。

そんな事を考えていたら、不意に彼女と目が合った。
「…っ」
驚きで身動きが出来ないあたしに、彼女が小さく笑いかける。
呆気に取られたままテーブルに近づいてくる彼女を見る事しか出来ない。


掌にカサ、と乗る紙切れの感触。
「これ、あげる」
耳元で囁かれた甘い声に、頭の中が痺れていく気がした。



「あ〜ちゃん、今の人知り合い?」
「…」
「あ〜ちゃん?」
「…あ、ううん。全然知らん人…」
「もしかして、さっき何か変な事言われた?」
友達が心配そうにあたしを見つめているのに気付いて、なんでもないよ、大丈夫だから、と返した。


掌に乗ったままの紙切れをそっと握る。

…それは彼女の連絡先が書かれたメモだった。



  • 続く-






最終更新:2009年05月25日 23:01