「あ〜ちゃんが好きなのって、のっちじゃない?」
あたしは固まった。
えっと…
どうするのが正解だ?
ちょっと待って、どうしよう。
あ、なんか言わなきゃ。
ずっと黙ってたら、不自然に思われるよね。
「あ…、あの、え〜っと…」
なんか言わなきゃって、なに言えばいいんだろ?
どもっちゃって、のっちみたい。
あ、今のっちの事考えるのはやめよう。
冷静になんなきゃ。
………でもいいのか。
どっちにせよ、今からのっちの話になるのか…
「あ〜ちゃん?」
「う、うん!」
どうしよう、目がまわってきた。
「ゆかね、決めたの。今日あ〜ちゃんと話をして、どうしようか決めようって」
「え…?どういうこと?」
「あ〜ちゃんはね、ゆかの最後の砦なの」
ますます分かんないよ。
焦ってばかりのあたしをよそに、ゆかちゃんは淡々と話を続ける。
説明する様な、そんな落ち着いた口調。
「ゆかにとって一番大事なのはね、Perfumeなんだよ。Perfumeとしての、あ〜ちゃんとのっちが一番大切。それは本当」
「…あ〜ちゃんも一緒よ」
「うん。多分のっちもね」
あれ?
ちょっと待ってよ…?
呼ばれたのは、あたし。
あぁ。
なんだ、そういうことか…
質問じゃなくて、確認だったんだね。
だから、あたしとゆかちゃんなんだね。
ごめん…
どうしよう…
そういうことなら、やめてゆかちゃん。
その先は、言わないで。
あたしが、今は言わないって、決めたこと…
だから…
お願いだから言わないで…
「だからね。Perfumeが気まずくなるのは嫌なの」
あたしだって一緒だよ。
そんなのは、絶対御免。
「でも、我慢するのももう限界」
してよ。そんくらい。
あたしなんて、どれだけ我慢してきたと思ってるの…
「あ〜ちゃん…?」
きっとあたしは今、恐い顔してる。
あたしを呼ぶゆかちゃんの声は震えてた。
でもそれは、話の内容に気を使ってるからだね。
店内の照明がひかえめだから、ゆかちゃんの表情は見えない。
良かった。
それなら、あたしの顔も、ゆかちゃんには見えていない…
「もう、見当はついてると思うけど…」
当たり前だよ。
何年付き合ってると思ってるの?
「ゆかが、好きになっちゃったのはね…」
ねぇ、あたしはどうしたらいいの?
何を言えばいい?
「…のっちなの」
あたしの心臓は、さっきまでうるさかったのに…
音が、全部消えた。
最終更新:2009年05月25日 23:12