学園祭中日。
今日も忙しい。
午前中はクラスのクレープ屋を手伝って、午後は明日の本番に向けた練習。
今日ものっちと一緒にいられない。
昨日、目を逸らされてからのっちと喋ってない。
もしかして、避けられてるのかな・・・。
話し掛けたいけど、教室じゃ掛けずらい。
そうこうしている間にのっちはフラっとどこかへ消えてった。
あたしは仕方なくクレープを作る事にした。
クレープ屋さんは忙しくて、余計な事を考えずにそれに集中出来た。
ゴミが溜まってきたから、あたしは一つのゴミ袋に纏めてゴミ置き場に行った。
ゴミ置き場は体育館裏の隣にある。
体育館裏に差し掛かった時、のっちの声がした。
あたしは柱の影からそっと声のする方向を見る。
また、木村さんと一緒だ。
仲良く焼きそば食べてる。
木村さんが座ってる場所は本当ならあたしが座る場所なのに・・・。
小さな嫉妬があたしの中に生まれた。
「のっち・・・今、付き合ってる人いる?」
微かにだけど木村さんの声も聞こえた。
「・・・いないけど」
のっちのこの言葉にホッする自分がいる。
「実は・・・のっちが転校してた時から好きだったんだ・・・もし良かったら、あたしと付き合ってもらえますか?」
うそ・・・木村さんものっちの事好きだったの・・・。
人の告白を盗み聞きしちゃうなんて、最低な事しちゃった・・・。
「あ・・・木村さんが嫌とかじゃなくて・・・実は・・・好きな人がいるんだよね・・・」
のっちのこの言葉に半分ホッして、半分ショックを受けてる自分がいる。
木村さんの告白を断ってくれてホッとした。
のっちに好きな人がいるって知ってショックだった。
のっちに好きな人がいるって、今まで考えた事なかった。
誰なんだろ・・・。
あたしの知ってる人?
それとも知らない人?
あぁ・・・なんだろ、この気持ち。
あたしが告白した訳でもないのに、フラれた気分。
好きな人に好きって言える勇気を持ってる木村さんが羨ましい。
あたしはただ自分の気持ちを隠して、友達の顔色を伺っている弱い人間だから。
あたしも言えるなら、言いたいよ。
のっちが、好き。
って、言いたいよ。
でも言えないよ。
言ったら、何かが終わっちゃう気がするから。
怖くて言えない。
そもそも、のっちには好きな人がいるから、100%叶わない恋。
いや、のっちに好きな人がいなくても、きっと100%叶わない恋。
「・・・ちゃん」
「あ〜ちゃん!!手、手!!」
教室に戻ってまた、クレープ作りをはじめたら隣の子が叫んでる。
「あちっ!!」
のっちの事をボーっと考えてたら、無意識にホットプレートに手を置いていた。
手を火傷した。
痛い。
あたしの心も火傷して痛い。
手を冷やすために保健室に向かった。
ゆかちゃんに氷のうを貸してもらった。
「どしたん?あ〜ちゃんなんか元気なくない?なんかあったん?」
「んー、、、大丈夫じゃけぇ。だたちょっとボケっとしとったら、こうなっただけ」
あたしはゆかちゃんに心配かけないように、火傷した手をヒラヒラさせた。
突然、廊下の向こうからすごい足音が聞こえて、勢いよく扉が開いた。
扉を開けたのはのっちだった。
走ってきたからなのか、ひどく息を切らしている。
「あ・・・あの、あ・・・あ〜ちゃんがいるって、、、」
えっ、あたしに会いにきてくれたの?
「そうなんだ。じゃ、先生ちょっと飲み物でも買ってくるわ」
ゆかちゃんは保健室を出ていってしまった。
保健室は必然的に、あたしとのっちのふたりっきりになってしまった。
「手、どうしたの?」
のっちはハノ字眉で訊いてきた。
「あぁ、ボーっとしてたら、ホットプレートにジュって触っちゃったんよ・・・」
あたしはぶっきら棒に答える。
「大丈夫?」
のっちは本当に心配そうに訊いてくる。
「うん。プレートが低温だったから・・・」
あたしはそんなのっちに冷たく答える。
「あ・・・昨日、ごめんね・・・駄菓子屋さんで、目合ったのに、逸らしちゃって・・・」
のっちは全然悪くないのに、謝らせてしまった。
もしかして、息を切らして走ってきてあたしに会いにきてくれたのは、昨日の事を謝りにきたから?
のっちの優しさに心が癒される。
のっちのせいで心に火傷をしたけど、のっちのおかげで癒された。
「あー・・・そんなことあったっけ?」
あたしはわざと、はくらかした。
「えっ!?嘘?憶えてないの?」
のっちはまたハノ字眉。
「憶えてなーい」
あたしはわざと、おどける。
こうすれば、いつもの二人の雰囲気に戻るから。
あたしが、おどければのっちは一緒に乗ってくれるから。
のっち・・・言えないけど、あたしはあなたが、好きなんだよ。
最終更新:2009年05月25日 23:38