「ん〜!かわいかったぁww」
ゆっくり揺れるローカル線の車内。
向かいの席に座って、慣れない手つきであたしのデジカメを弄りながらスライドショーを見ている彼女はとってもご機嫌だ。
たぶん彼女が見ているのは、イチゴ狩りのハウスの中で小さい女の子と一緒に撮ってあげた写真たち。
あ〜ちゃんはイチゴ狩りそのものよりも、イチゴ狩りに来てた小さい女の子と遊べたことの方が満足だったみたい。
子供と戯れれてる時の彼女の笑顔は幸せそのものって感じで。
見ているこっちも、自然と笑顔になれる。
「ほんま連れて帰りたかったわ、のんちゃんw」
「あ〜ちゃん、それ誘拐ww」
ゆっくりと二人で過ごす時間もいいけど、
たまには、こうして遠出をして、味気ない日常から離れてみるのもいいね。
こうやって、二人だけの思い出がどんどん増えていけばいい。
「まだ、ちょっと時間あるけど、この後どうしよっか?」
「ちょっと歩き疲れたよね」
「ほうねぇ、結構歩いたね」
「マッサージ行こうよwそれとも岩盤浴にする?」
うわ、目がキラッキラッしとる。
彼女の関心はデジカメの中の小さい子の写真のデータから、瞬時にマッサージと岩盤浴の天秤に移ったらしい。
あ〜ちゃんのこういうところ、すごく女の子だなぁって思う。
って、まぁ、もちろんゆかも女の子なんだけど、さ。
あ〜ちゃんみたく、あそこまで女の子らしくはできない、って言うか。
憧れはするけど、真似はできない部分。
どんなに頑張ったところで、気持ち悪い自分しか想像できないし、真似しようとも思わないけど。
その点、のっちとは共通する部分が多いと言うか。
似たもの同士、なんだろうな。きっと。
だから、きっと、あたしは正反対な二人に惹かれるんだ。
「ゆかちゃん?」
「へっ?あー、、ごめんごめん」
返事のないあたしにあ〜ちゃんが怪訝そうに顔を覗きこんできた。
「いいね、マッサージとかw一回行ってみたかったんよ」
うん、今日はとことんあ〜ちゃんに付き合うよ。
あ〜ちゃんの笑顔が見れれば、不満なんて何もないのでぃす。
結局、岩盤浴との天秤に勝ったらしいあ〜ちゃんオススメのマッサージ店に行くことに。
あ〜ちゃんに連れられるままに降り着いた駅は、とても馴染み深い駅だった。
歩き慣れた駅前の道を、いつもとは違う人と手を繋ぎながら歩いて。
ここだよ、と彼女が笑顔で指差すビルの中へ足を進めた。
無意識にざわつく心を抑えるために、隣の彼女に気づかれないように小さく深呼吸をして。
小洒落たビルの3階。
エレベーターの扉が開けば、意外と広いエントランスに受付が見えた。
へぇ、マッサージ店って初めて来たけど、エステみたいにキレイなとこなんじゃね。
って、エステもテレビでしか見たことないけど。
「担当はどうなされますか?」
「この前と同じ方にお願いしたいんですけど」
カウンターでやり取りをするあ〜ちゃん。
会員カードも出してたし、どうやら常連らしい。
「バイトさんなんじゃけど、力加減がめっちゃ上手なんよ」
「ほんま、常連さんじゃねー」
2人用の個室に通され、手渡されたバスローブに着替える。
「ってかさぁ、マッサージなら、ゆかがいつでもしてあげるのにw」
バスローブに着替えたあ〜ちゃんの隣に腰掛け、無防備そうな腰を抱こうと試みた。
だけど、それは自然な動作でするりとかわされてしまった。
「ゆかちゃんのは、マッサージだけで終わらんじゃろ・・・」
むむ、、外でのあ〜ちゃんって結構ガードが固い。
おかしいな、ゆかは外にいる時でものっちに好き勝手されてるっていうのに。
ん?あれ?・・・それって、ゆかのガードが案外ゆるいってこと?
うわ、なんかそれって、ちょっと、、いや、かなりショックだ。。
「ゆかのせいじゃないもん。あ〜ちゃんが可愛すぎるのがいけんのよ」
「なんよ、それーw」
そんな風にじゃれ合いながら、二人で足をぶらぶらさせていると、
コンコンと扉を叩く音。
「はーい、どうぞー」
駅に着いた時から嫌な予感はしていた。
だけど、
まさか、
こんなところで、
「失礼します」
聞き覚えのある声に耳を疑う。
「本日、お二方を担当させていただきます」
深いお辞儀から、顔を上げたのは、
「大本です。よろしくお願いしま、、す・・・」
落としてしまいそうなくらい大きな目をまん丸にした、
のっち、だった。
to be continued...
最終更新:2009年05月30日 22:30