夜の街は明るくて孤独感を紛らわしてくれる。
そんな街を、ドタキャンされたゆかを迎えに来たのっちと二人で歩く。
時折ズレる眼鏡を直しながら欠伸をするのっちに、いきなりチョップをかました。
「いて!…もー、来いっていうから来たのに…何その仕打ち…」
「何なんその格好は」
更にのっちは全身真っ黒な出で立ち。せっかく綺麗な顔立ちしてるのに、これは全体的に残念じゃろ。
「寝起きだからしょうがないじゃん…しかも慌ててコンタクトレンズは踏むし…」
「知らんがな」
「ひどいよゆかちゃん…」
そんな友達の八の字眉が好き。まぁあくまで友達としてね。
「…あ。さっきバーで知らん女の子に話しかけてたけど、また引っ掛けたん?」
「んー?ケータイ番号とメアド渡しただけ」
「ふーん」
「なになに、気になるの〜?」
つんつん、と肩を突くとのっちは。
「あの子、真面目そうだから大丈夫かなーって」と、おどけた。
「ゆかに目つけられてーって?」
「うん」
「ひっどー」
のっちがこんな冗談言うのは、ゆかが遊び人だと認めて、それを許しているから。
別に責めるでもなく、心配するでもなく。
ゆかの唯一の信頼できる友達としていてくれるのっち。
「ねぇねぇお腹空いたー」
「…のっち金欠なんですけど」
「知らんがな」
「…アクマ」
「なに?なんか言った?」
「いててて、すみませんでした離して下さい」
なんてふざけてじゃれてたら、バッグに入れてた携帯が震えているのに気付いた。
差出人は…多分あの子。
「……」
「ゆかちゃん?」
立ち止まったゆかの顔を覗き込むのっち。
何でもないフリをして、小さく微笑んだ。
返信は後でいいや。
だってゆかお腹空いちゃったんだもん。
「ゆか、ラーメン食べたい」
「ちょ、だから金欠…」
「知らんがな」
のっちに有無を言わせないよう、極上の笑顔を見せつけた。
最終更新:2009年05月30日 22:36