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学園祭最終日。
今日は待ちに待ったライブ!!
この日の為に1年間練習したって言ってもいいくらい、頑張ったもんね。
でも折角の晴れの舞台なのに今日はなんだか雲行きが怪しい。
それだけで、ちょっとテンションが下がる。

朝からライブの準備。
一年生はかなり緊張してるみたい。
でもそんな緊張しなくてもいいんよ。
実際はお客さんなんてほんの少ししかいないんだから。

あたしは出番までステージ裏で待機。
自分が歌う曲をipodで聴いてリラックス。

ん?なんかざわざわうるさくなってきた・・・。
えっ、急に大勢の人が体育館に入ってきた。
なんで?あっ、そうか。雨が降ってきちゃったんだ・・・。
えー、あたし・・・こんな大人数の前で歌う事になっちゃうの・・・。
ちょっと、緊張するよ。
あっ、そういえば・・・のっち、ちゃんと見に来てくれてるかな?

「あ〜ちゃん!!うちらの番だよ!!」
バンドのメンバーの子に呼ばれた。
「うん!!」
あたしは緊張で心臓バクバク。

「こんにちわー!!皆さんー学祭ガンガン楽しんでますかーーー!!」
とりあえず、緊張を隠してみんなを煽ってみた。
「イエーーーーイ!!!」
よかった、みんなノリが良い。
「じゃ、このライブで更に、イエイイエイのウォウォウで、盛り上がっていきましょう!!では、1曲目聴いて下さい!!」

やっぱ、歌うって楽しい。
人に聴いてもらうって嬉しい。
あたしの歌でみんながノってくれてるのが嬉しい。

それにしても人が多いな。
しかも薄暗いから、顔がよく見えない。


のっちはどこ?
あたしはここだよ。
のっち、どこにいるの?
あたしの歌聴いてる?
あたしの歌響いてる?

あたしは緊張もあってか、のっちを上手く探せなかった。
そしてあっという間に最後の曲になってしまった。

「・・・では、これが最後の曲になります」
会場からは「えーーー?もう終わりなの?」って言う声が上がった。
その声は単純に嬉しかった。

すうっと息を吸って歌い出す。
この曲は屋上でのっちと一緒に聴いた曲。

あっ・・・。

いた。

のっちが、いた。

あたしから一番遠い出入り口に立ってる。
よかった、ちゃんと見に来てくれたんだね。
のっちを見つけただけで、嬉しくて泣きそうになった。

のっち・・・この歌、聴いてて。
告白は出来ないけど、この歌を受け取って。
のっちの事を想ってずっと歌ってきた曲だから。
あたしは一瞬たりとものっちに目を逸らさず歌いきった。

3曲歌い終えたあたしは、満足感で一杯。
早く、はやく、のっちに会いたい。
そう思ってステージ裏を急いで出た。
そしたら、人ごみに囲まれてしまった。
みんな、あたしを褒めまくり。
それは嬉しかったけど、あたしはのっちに会いたいの。
早く、のっちの所に行かせてよ。

あたしが人ごみから逃げ出した時には、もうのっちは体育館からいなくなってた。
でも今のあたしにはのっちがどこにいるか直感でわかった。
お好み焼きを買って、のっちがいる場所へ駆け足で向かう。
気持ちが急ぎすぎて、足が追いつかない。
途中で、コケそうになった。

あたしは息を切らして着いた。
「やっぱ、ここだ!」
着いたのは屋上の扉の前。
「な、なんで?」
のっちはひどく驚いてる。
「どして、ここに来たの?」
「ここに、のっちがいると思ったからじゃけぇ」
のっちに会いたかったからだよ。


「屋上でお好み焼き食べよ?」
「う、うん。あっ、でも閉祭式出ないと・・・」
のっちって意外と真面目。
「平気平気。うちら二人いなくても誰も気にせんよ」
あたしはのっちとふたりっきりになりたいから、適当に誤魔化す。
「そ、そうかな?」
「そうそう。早くしないとお好み焼き冷めちゃうけぇ」
ポケットから鍵を取り出して、屋上に上がった。
雨上がりだから少し地面が濡れていた。
あたしたちは比較的濡れてない所を見つけて、そこに座った。

「ごめんね、のっち。ほら、あ〜ちゃんこの前、のっちの為にサイコウの学祭にしてあげるけって言ったじゃろ?」
「・・・うん」
「あ〜ちゃん、結局のっちになんもしてあげれんかった・・・」
「そんなことないよ!!ライブめちゃくちゃ良かったよ!!あたしなんか、鳥肌立っちゃったくらいだよ!!」
のっちは興奮気味にこう言ってくれた。
よかった。歌ってよかった。
のっちにあたしの歌が届いてよかった。
きっと、てか絶対あの曲をのっちの為に歌ったって本人は気付かないだろうな。
でも、いいや。気付かなくても。
のっちが喜んでくれたのなら。
よかった、約束を守れて。

「ほんとに?」
「ほんと、ほんと!!それに、今だって・・・」
のっちは次言う言葉に詰まってる。
「『今だって』・・・の、続きは?」
それがなんだか可愛くていじめたくなった。
「あ・・・ぃや・・・その・・・」
あたしに突っ込まれたのっちは今度はシドロモドロになっちゃった。
その姿がすごくいじらしく感じた。

その姿を見て単純に、好きだって思った。
その姿を誰にも見せたくないって思った。

そして、ギュって抱きしめたいって思った。
でも、思っただけで行動には移せなかった。移さなかった。
だってその行動を取ると、二人の関係が終わってしまう気がしたから。

「のっち、眉毛がハノ字になってるw」
「えっ、嘘w」
「来年は一緒に回ろうね」
「うん!!」

のっち・・・来年は一緒に回るって約束守れなくなっちゃって、ごめんね。






最終更新:2009年05月30日 22:44