人の目を気にしなくてもいい場所に行く度に、手を繋ぐようになった。
いつも穏やかで、幸せな気持ちが伝わってきて、自然とあたしも笑顔になれた。
実際、二人は驚く程綺麗になった。
揃ってあたしの方に振り向くと、安心した様に、笑った。
だから自然と、あたしは二人の後ろをついていくことが多くなった。
始まりなんて、いつもそんなもの。
そして、次第に一人になることが増えた。
あの夜、ゆかちゃんと話を終えてからのあたしとゆかちゃんの行動は、驚く程シンプル。
のっちのあたしに対する『好き』は、あくまでPerfumeとしての、心地好い仲間意識の延長だったから…
それはもちろん、ゆかちゃんにも向けられて然るべき気持ちだったから…
あたしとゆかちゃんは、のっちがゆかちゃんと付き合えるように、自然な空気で促した。
感受性豊かなのっちは、あっという間にゆかちゃんとセットになった。
N極とS極のように、それはもう当たり前のように。
幸せそうにするゆかちゃん
嬉しそうな顔したのっち
二人共、以前となにも変わらない様に接してくれた。
三人でいる時は、Perfumeでいれるように。
だから、変わってしまったのはあたしだ。
付き合ってる二人と、そうではないあたし。
間違いなく距離は違う。
変わらず接してくれようが、それすら感じないほどあたしは鈍くなかった。
変わらず接してくれようが、感じる違いに目を瞑れる程、強くもなかった。
始めのうちは、二人が二人でいれる時間を作れる様に、手助けしたりもした。
楽屋で二人きりにしてあげたり、スタッフさんの目を引き付けてあげたり。
次第に人間慣れるもんで、あたしの手助けなんかなくても、二人は巧く事を運ぶようになった。
二人を結ぶ連帯感。
会話がなくても通じ合う、二人の気持ち。
より近い場所に
より親密に
もう、あたしはいらなくなった。
二人のいる場所に、あたしはいない。
人間どうやったって、やっぱり欲張りにできてるみたいだね。
売れることを夢見てた頃は、恋も友情も、欲しいものも自分の時間でさえも、なにもかも犠牲にしたって構わずこの場所まで走ってきたのに。
いざ辿り着いてしまえば、また新たなものが欲しくなる。
誰だってきっとそうだ。
だからあたしは悪くない。
パパとママのせいでもない。
きっと、神様のせいだ。
そうだ。そうしよう。
あたしが欲張りなのも、素直じゃないのも、かわいくないのもやきもちやきなのも
全部神様のせいにしちゃえばいいんだ。
今、のっちとゆかちゃんは楽屋にいる。
あたしは、楽屋のドアにもたれかかり、入れずにいる。
神様のせいだ。
だから、楽屋から漏れ聞こえてくる密めた声も、神様のせい。
押し潰されそうな胸の痛みも、流れる涙も
神様のせい。
あたしはとことんダメになったんだな。
それすら認めたくもない。
全部、自分のせいなのに…
最終更新:2009年05月30日 23:37