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「んー、」
「あっ!!」
「あー、深いわぁ、うんうん」


独り言ばっかり言う人とは一緒に住めんなーって、いつかの収録で言ったこともあるけど、いざこの部屋に響く声はなんか心地良い。


今日は取材が早く終わり、久しぶりに二人でゆっくりしようかって事でうちに帰ってきた。


だけどゆかちゃんは待ち時間に読んでたJOJOの続きが気になるらしく、さっきからソファーに横になって黙々と読んでる。


まぁ明日は午前中はオフだし、二人でいて別々の事が出来るってのもなかなかいいよね。


って事でのっちは撮り貯めしてたお笑い番組を見ています。


ソファーはゆかちゃんに占領されちゃったんで、仕方なく床に座ってもたれる。
ちょうど頭の所にゆかちゃんの腕があって、触れてるってだけで満足。
しかもたまに髪にゆかちゃんの指の感触。
うん、幸せだ。


しばらくしてゆかちゃんは唸り声をあげて起き上がり、漫画を置いて台所へ消えた。


帰ってきたゆかちゃんが持っていた2つのグラスに入っているのはアップルティー。


のっちんちの冷蔵庫はなんもなさそうって言って帰りに寄ったコンビニで仕入れたやつだ。
さすがゆかちゃんセレクト、なんかおしゃれで女の子だなぁって考えてると、


「のっちの分置いとくよ」


って1つのグラスをテーブルに置いてくれる。


なんかこーゆーちょっとした優しさでもかなり嬉しいんですけど。
ありったけの愛情を込めて、


「ありがと」


って言った。


なのにゆかちゃんはのっちとテレビの間に立って背を向けている。


と、次の瞬間鈍い衝撃。






まぁなんてゆーか、変な姿勢でJOJO読んでたら疲れちゃって、体勢を変えようと思っただけなんだけど。


どうせ座るならって思って、伸びてたのっちの綺麗な足に割り込んで座った。


ちょっと勢いがつきすぎてのっちがちょっと唸った気がした。
お互いテレビの方を向いているからのっちの顔は見えないんだけど、今してるであろう顔が瞬時に浮かんで少し思い出し笑い。



ごめんねのっち、しばらくゆかの背もたれを命ずる。



するとその心の声が伝わったのか、返事のかわりに細い腕がゆかの腰をしっかり抱きしめた。


さすがのっち、ゆかの扱いがよくわかってるなぁ。
言葉にしなくてもちゃんと想い合えてる。
そう思うと嬉しくてちょっとニヤけてしまった。
よかった、顔見えなくて。


のっちは多分自然とゆかを抱きしめてるんだと思う。
だって今もテレビを見ながら笑ってる。
愛情表現が無自覚なのがのっちのいいところだ。
笑い声が直接伝わってゆかの体の中で響いてる。
なんだかご機嫌になってきた。



「ねー、のんのん?」
「んー?」



嬉しさを悟られないように、本に目を落としながら出来るだけ棒読みで言った。



「だいすきー」



ふっ、のっちまたフリーズしてるな?してやったり。
すると、髪がかきわけられて首筋にあったかい感触と、



「ちゅっ」



の返事。




のっちがテレビを切った。
だからゆかは本を置いた。


夜はまだまだこれから。






最終更新:2009年05月31日 00:10