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(K)

代々木ライブの打ち上げ。居酒屋。


今までみんなで頑張ってきたことを全て出し切って、大成功、大盛況のステージだった。


本当に気分がいい。普段あまり飲まないお酒も今日は良くすすむ。


あ〜ちゃんがスタッフさんと物まね対決。


それを楽しそうにみているのっち。たまに手なんか叩きながら。



      • でも、知ってる。


のっちの全神経は斜め後ろ、ゆかと1人のスタッフさんの会話に集中。



「やっぱりオレたちパフュームチームはさ・・・」


ゆかを口説くこのスタッフさんは・・・嫌いじゃないけど好きでもない。
でも酔うと話す距離がすごく近くなるのは、少し嫌だ。


のっちはゆかが口説かれるときは、いつも助けてくれる。


『ゆかちゃんにあんまり飲ませんでください、この子お酒弱いんで』ってはっきり言ってくれたり。


『何してるんですか(笑)うちの樫野に』ってやわらかく、でもびしっとガードしてくれたり。


『ゆかちゃん、もぉ帰ろ』って強引に引き離してくれたり。


本当に、王子様みたいなの。


のっちはゆかだけの王子様。


いつも助けてもらったあと、「のっちがいなかったらどうするん!?そのまま付いて行っちゃうん!?」
て怒られるけど。


のっちがいなかったら?・・・そんなん、さっさと断っとるよ。


ゆかはね?王子様に助けてもらうのが好きなの。



「ゆかちゃんのケータイ、超かっこよくない?ちょっと、見せて」


ケータイの話題を出すのは、「番号教えて」のサイン。


「見てよ。オレの携帯さ、古くてー」


ほらほら、くるよ。のっち。どうするん?


無表情ののっちが立ち上がる。ちらっとこっちを見る。ゆかと目が合った。


「ゆかちゃんてさ、メールよくする人?オレもー」


ほら、ゆかを助けて?邪魔して?あたしのものに触んな、っていつもみたいに態度で示して?



———パタン。


え、、、


出てっちゃった。


な、なんで?


「番号、教えてよ」


のっち!なんでいなくなっちゃうん?


「ゆかちゃん?きーてる?」


のっち、怒ってるの?


ゆかがいつもこんなんで、呆れたの?


のっち、のっちごめん、ごめん待って、行かんで!!


「赤外線「すいません」


スタッフさんの顔も見ず、個室を飛び出す。


通路を見渡してものっちはいない。バッグはあったから帰ってはいない。


のっち、ごめん。嫌な思いさせてたんよね、ほんまごめん。


トイレへの通路の角を曲がると、腕組みをしてたたずむ王子様。


いた・・・


ゆかが急に角から出てきて、無表情だけどちょっとびっくりしたように目を丸くするのっちの顔。


のっち、ごめん、ごめんね。怒ってる?って本音とはウラハラに、

「のっち!なんで助けてくれないん!?ゆかがスタッフさんに口説かれててもいいん!?」


あ〜また、言っちゃった。また呆れられちゃう・・・


とたんに無表情から優しい八の字眉。ふっ、って笑うのっち。


「ゆかちゃん?なんで泣いとるん?」


え、ゆか、泣いとる?


のっちがどんどんゆかに近づく。
ゆかの顔を覗き込む。


「のっちがいなくなって不安になっちゃった?」


「ち、違・・・」


のっちにふわっと抱きしめられて、言葉の続きが出なくなった。


こんなはずじゃなかったのに・・・


「うぇ・・・うぇぇん。。。」


涙が止まんないよ。酔ってるのかな?



「のっちはここにいるから安心して?」


かすれたような、低く優しく囁く声。大好き。


「ね?」


のっちはギューって抱きしめてくれて、ゆかは安心して泣き止んだ。


ほんとは不安になっちゃったの。のっちが出てっちゃう後姿がね?


「ゆかちゃんなんか知らん」って言ってるみたいで。


すごい哀しかったんよ。


「のっち・・・どこも行かんで・・・?ゆかのそばにおって・・・」


「うん。もうゆかちゃんを一人にせんよ。口説かれたら、速攻でガードするけぇ」


ほんと?でももうゆかも、のっちを試すようなことせんよ。のっちに嫌われたら嫌じゃ。


でもゆかはあまのじゃくじゃけぇ、こういうの上手く言葉に出して言えんのよ。


「守ってくれないと、ゆか、スタッフさんに番号とか、教えちゃうんだから!」


「うん。」


そんな全てお見通しの、優しい顔で微笑まんでよ。


ゆかがすっごい子供みたいじゃん。・・・子供なんじゃけど。



皆がいる個室に戻ると、さっきのスタッフさんのそばに、のっちと手を繋いで行く。


「すいません、ゆかちゃんはあたしの彼女なんで・・・ケータイの番号とか・・・すいません」


はっきり「彼女」なんて言ってくれるの、初めてだね。


のっちのケロケロ声、ちょっと震えてるよ?きっと勇気を出して言ってくれたんよね。



ありがとう。大好きな、王子様。




その夜ベッドの中でのっちに、なんであの時出て行っちゃったの?って聞いた。


のっちは、呆れたわけじゃないって。怒ってたわけでもないんだって。


でも理由は教えてくれなかった。何でなん?ゆかにはわからん。


「また今度、教えるよ」


そう言っておでこにキスされた。


「ほんまのっちの考えてることはよくわからん・・・」


そうつぶやくと、


「のっちはゆかちゃんのことしか考えとらんよ?」


とぼけたフリして、腰砕けになることをサラッと言いよる・・・この王子は・・・


      • まぁいいか。今はのっちの愛に包まれて、ライブの余韻に浸りながら眠りにつこう。


ゆかだけの王子様。これからもゆかだけを見てて。


——————END——————






最終更新:2009年06月17日 10:42