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side n…


あたしは、雌豹を飼っている。


上質の毛並み。

キレイな瞳。


気高いプライド。




どれをとっても、あたし好み、だ。



…こんなことになった


きっかけは、、、なんだったっけ?


わかんない。


ただ


彼女を、手に入れたかった。


ただそれだけ


それだけは、はっきりとわかってる。


でも、強引なことはしたくない。

流儀に反するから。


じわじわと罠を張り巡らせ


見えない糸で


気づかれないように捕らえた。


手も足も腕も指先も、、、そして


ココロさえ、も。



見えない糸で、がんじがらめに

した。


小指と小指は

鎖で結びつけて

真っ赤に染め上げた。


それが、運命だと言わんばかり、に。


今朝もおなじベッドで目が覚める。


あたしの左腕にちっさな頭をちょこっと乗せて

すーすー

規則正しい寝息を奏でている。


右手でそっと

キレイな黒髪を梳かす。



ぴくっと一瞬、カラダが震える。

そっと開かれる瞼。

そこから覗く、漆黒の瞳。

伸びてくる細く長い腕。


ぎゅっと抱きしめられる。




「おはよ」

「…おはよ」

ちゅっ・・

軽く口付けられる。



けど


あたしからは、何もしない。


キス、どころか

自分からは


抱きしめることもしない。



好きなようにさせてあげる。


したいなら、すればいいよ?


…そんなふうに。


でも、カラダは許さない。

どれだけ求められても。。。


あとは、彼女の好きなようにさせてあげる。


好きなようにして、あげる。



いつからか、一緒に暮らし始め


いつからか、ゆかちゃんは

一歩もこの部屋から出なくなった。


のっちと一緒に出かける以外、、、は。



出なくなった?


いや

そう仕向けたのは


紛れもなく、、、あたし、だ。


口元が厭らしく緩むのがわかる。


彼女は無意識に人を惹きつける。


それがたまらなくヤだった。


誰にも触れさせたくなかった。


歪んでる?


そんなの重々承知、だよ?



あたしは、周りの人たちが言うように

まっすぐでキレイでもなければ

ばやっとして、なにも考えていないわけでもない。


欲望に飲み込まれて、抜け出せないでいる。



彼女を独占したい


あるのは、その想い、だけ。




この前、久々にあ〜ちゃんがやってきた。


用件はとてもシンプルで



もう、ゆかちゃんを解放してあげて、、というものだった。


「解放…?」

「・・・もう十分でしょ?」

「解放ってなに?のっち、なんもしてないよ?」

「っ!こんなの、監禁どうぜんじゃん!」


監禁?


「・・のっち、別にゆかちゃんのこと縛り付けてるわけじゃないよ?
 ゆかちゃんは自由にどこにだって行けるよ?
 玄関の出入りだって、自由。閉じ込めてるわけじゃ、ない」



そう、彼女は“自由”だ。

映画なんかで観る監禁シーンのように
部屋に錠をかけてるわけでも
ましてや、手足を拘束してるわけでも、ない。


自由なんだよ?

      • 見た目、、はね。


「・・・ゆかちゃんと、、、二人で話していい?」

「…どうぞ」


あ〜ちゃんをゆかちゃんのいる部屋に通す。



監禁、、か。


そんなつもりはない。


無理強いなんて、彼女には似合わない。


ムリに誰かとなんか、過ごせる人なんかじゃない。


興味がなくなれば、すぐにでも


ばいばい、だ。


そんなふうに、あしらわれた人たちの姿を

何度見たかわからない。


あんなふうにはなりたくない。


ずっとずっと


彼女のココロの中にいたい。


あたしの、存在を刻み続けたい。


あ〜ちゃんはわかってない。


そう

縛られてるのは

囚われてるのは


彼女ではなく



あたしだって、こと。


そして


ずっとずっと傍にいたからわかる


彼女の扱い方。


ずるいあたしは


ただ、それを利用した、だけ。


ねぇ、


それってイケナイこと?




ガチャリ


部屋の扉が開く。


なみだ目のあ〜ちゃんが佇む。





沈黙が、やけにリアルにカラダに響いた。



「…のっち?」

「ん?」

「のっちは、いったい何がしたいの?」


「・・・ゆかちゃんの、傍にいたい、だけだよ?」


嘘、だ。


ゆかちゃんに、誰も近づけたくない、だけ。


「こんなの・・・絶対におかしいよ・・・」



そういって、あ〜ちゃんは去っていった。



おかしい・・か。


うん、そだね。


でもさ


こんなに誰かに焦がれてしまって


正気でいれる人なんて


      • いるの?


おかしいよ。


のっちは



おかしいくらい


ゆかちゃんが、好きで好きで


独占したくてたまらない。


っ!


細く長い指で頬を拭われ


自分が泣いていることに気付く。



「・・なんで、泣いてるん?」

困ったような、ゆかちゃんの笑顔が目の前にあった。


「・・・さぁ、、、なんでだろ?」


口が裂けても言わない。



ゆかちゃん


あなたが愛しくて愛しくて

泣きそうなほど


愛してる、こと。


それを伝えてしまうと

終わり、への

カウントダウンが始まってしまう気がするから…



「あ〜ちゃん、、、なんだって?」

のっちの頭をやさしく撫でながら


「別に、、、ゆかのこと、心配してくれてた、だけ」

「…そう?」

「うん・・・だから、、、

「だから?」


「心配ないよ、、て。大丈夫だよ、、て。
 “ほんと”の、話をした、だけ」

ゆかちゃんは、そう、答えた。



「そっか・・・」


大きくてやわらかな手のひらが

頭からおり、頬を撫で


首元をかすめる、



もう一本の腕も伸びてきて


ぎゅーっと、抱きしめられる。



「のっちぃ?」

甘い甘い

「んー?」


「ゆかのこと、、、好き?」

甘い甘い
貴方の声。


先に
見えない糸でがんじがらめになってしまったのは

きっと、あたし、だ。


「・・うん、もちろん」


ごめんね

『好き』て、コトバ


今日はあげない。


もちろん


あたしからは、決して言わない。


あたしは、ただ


あなたに応える、だけ。



だって


そうすれば


ずっと


ずっと



のっちに

執着して、くれるでしょ?


ずっと


ずっと


一緒にいれるでしょ?



ずっと

のっちに夢中でおってよ


願いは、ただ


それだけ。


ねぇ


あたしたちは


どこに向かってるんだろう、ね?







最終更新:2009年06月17日 10:52