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やっと肌を重ねる事が出来たのに、私の心に残ったのは後ろめたさと罪悪感だけ。





あんな奴の言葉に
動揺して、
戸惑って、
焦って、、、

ゆかちゃんを傷付けた。



いつもの時間
待ち合わせはいつもの踏切。



「おはよう、のっち」

笑顔でいてくれるゆかちゃんが益々私の罪悪感を増幅させる。

「おはよう、ゆかちゃん」


繋いだ手は少し震えた。


大丈夫?
君に触れても大丈夫?



「のっち?気分悪い?」
「ううん、大丈夫」



誤魔化す為に飴を一粒口に入れた。



こんなんじゃゆかちゃんをアイツに…
イヤイヤ、ゆかちゃんは渡さん!



「おはよう、樫野」


なんて、言ってるそばから…

「あれ?おはよう、佐藤くん」


何故か駅に看板の彼。


雨の日の表情からは一変、爽やかな笑顔。


「どうしたの?佐藤くん家コッチじゃないよね」
「ちょっと昨日、友達の所に遊びに行っててね」


嘘。
根拠は無いけど、嘘だって解る。
「大本さんもおはよう」
わざとらしい…。
「ども」
軽くあしらって早く、ゆかちゃんをコイツから離さないと。
「そうそう、樫野。昨日遊びに行った友達が映画のチケット余ってるからって、くれたんだよね。一緒にどう?」

なんだその嘘臭い誘い方。下心見え過ぎ…。

—…でも、私はあんなに素直に誘えない。


「ほら、見たいって言ってた映画もう公開したでしょ」

見たい映画なんてあったんだ…
私はそれすら知らない。
—…君を離したくないと想えば想うほど、自分がゆかちゃんの隣に居て良いのかって思う。

不安で、
どうしようもなく不安で、、、


「えー…でも、2人ででしょ?」
「え?ダメ?」
「誤解されたら嫌だなぁ」
「それちょっと失礼だよw」


『—まもなく、電車が到着致します…—』


そっと、緩めた手は案外簡単にスルリと離れた。

『—黄色い線の内側でお待ちください…一』


「のっち?」
「あっ!ごめん。恋人いる前で誘うとか、俺どんだけKYなんだよw」


『ドアが開きます』



「良かったら、大本さんも一緒にどう?」
「…」
「のっち?」


『ドアが閉まります』


渡さん…


「うん…行こう、、、かな」



『閉まるドアにご注意ください』





最終更新:2009年06月17日 11:57