「ふぁ〜、つかれたぁ〜。」
「さすがに朝からずっと取材はキツイわ〜。」
「あ〜ちゃんもう同じ事20回は言った気がするわ…」
私たちは今新アルバムの発売を控えて雑誌の取材ラッシュ。
さらにこれから始まるキャンペーンやコメント撮りの量を考えると、いくら自分達の作品を知ってもらう為とはいえ気が遠くなりそうだ。
次の取材まで少し時間があるらしく、やっとの休憩に楽屋に帰って来たんだけど、一旦腰を下ろすと三人とももう動けない。
あたしはゆかちゃんと机に向かい合わせに座り、腕を投げ出して机に突っ伏した。
のっちは場所がなくなったせいか楽屋の隅に座って壁にもたれている。
「なんかおなかすかない?ってかゆかたち昼ごはん食べてないね。」
「あ!!!もっさんがなんか買ってきてくれとるゆーとったわ!多分あの辺じゃない?」
顔をあげるのも億劫だったけどなんとか起こして棚の方を見る。
今を逃すと今日は帰るまで食べるチャンスがなさそうだ。
「なんか疲れすぎたしゆか、軽くでいいや。のっちはまたカツ丼とか重いもん食べるん?」
そう言ってゆかちゃんも体を起こしてのっちの方を見た。
…すぴー…
「あらっ、どうりで静かなわけだねwwのんのーん、ごはん食べずに寝るんー?」
ゆかちゃんだるそうに這っていってのっちに近づいていった。
足を投げ出した姿勢で壁にもたれたままのっちは寝ていた。
丈の短いズボンからまっすぐに伸びた細い脚。
少年のような、でもどこか凛とした雰囲気を纏っているその姿は魔法が切れて動かなくなったお人形さんのようだった。
昔はあんなにえんどう豆みたいじゃったのにいつのまにこんなに逞しくなったんかね、この子は。
最近はトークも頑張るようになってきたし、、、
ぼんやり考えながら差し入れのごはんを物色していてふと見れば、
壁にもたれているのっちを座椅子代わりにして動かなくなっているゆかちゃん。
あーあ、二人とも寝ちゃったよ。
お人形さん、増えてるよ。
ゆかちゃんの事だからきっと家で新しい振付を毎日猛練習して疲れているんだろう。
昔はあんなに真っ黒だったのに、いつの間にかこんなにかわいくキレイになっちゃって。
今の私は昔よりなんか成長出来てるのかな?
心の中で問い掛けながら二人の横に座った。
のっちに背中を預けて、すこし寄り掛かってみる。
四方を壁と私とゆかちゃんに囲まれたのっちがは、少し窮屈そうな息を漏らした気がした。
視界の左下に二人の手が映る。
その二つの右手に私は自分の左手を重ねると、とても心が満たされて落ち着いていくのを感じる。
思い返せば私の隣にはいつものっちとゆかちゃんがいた。
三人でずっと一緒にいること。
三人の願い。
PerfumeがPerfumeでありつづける為に。
あ〜ちゃんも頑張るけん、
のっちもゆかちゃんも、
しっかりついてきんさいや!!!
気持ちを込めて左手に力を入れた。
すると二人の右手は同時に微かに優しく、でも確実に私の手を握り返してきた。
涙が、出そうになった。
三人ならどんなことでも乗り越えていける。
いつまでも、のっちとゆかちゃんとあ〜ちゃんで、一緒に、走り続けて行こうね。
目を閉じると、とてつもない幸福感にのまれながら私は二人の後を追って眠りの底に沈んでいった。
最終更新:2009年06月17日 12:01