サイドK
愛のあるカップルとは違うから、
ベタベタと体をひっつけたりはしない。
私はただ欲にまみれた視線をむけるだけ。
あなたはただそれに、余裕な表情で答えるだけ。
いくら性感帯だと思われるポイントに舌を這わせても、
それらを指でなぞってみても、
余裕な笑顔を浮かべるばかりで
あえぎ声すら聞こえてこない。
最後の下着をはぎとる手が少しこわばった。
『腰浮かせて。』
『ん。』
短い会話。
視線を落とす。
きらりと光る。
蜜が漏れる。
『なんだ。ちゃんと濡れてんじゃん、、。』
『ん?』
『あ、いや、、。』
『感じないとでも思ったの?』
意地悪に聞く憎たらしいその顔。
仕事の時には見たことのない
悪意を覚えそうなその顔。
憎たらしくて、
悔しいほどに、
まったくゾクゾクする。
サイドN
いつまでこの余裕のある態度は続くのか?
ただ葛藤。
だけど今は、
溺れることを選んだのに、
やっぱりどうしても考えてしまう。
“何でかしゆかは私を抱きたいんだろう?”
ただなんとなく。
なんだろうな、、。
好きなら好きと言ってくれれば楽なのに。
ただしたいだけなら、
それだけだよと言ってくれれば割り切るのに。
『曖昧』だから、
期待もするし、
負けたくないし、
弱くもなる。
ほら。
こうしてる間にも
有害な酸素が体を包んで、
その毒牙に快感を覚えだす。
サイドK
簡単に誘いにのって、
簡単に体をほてらす。
三つの突起は全て好物。
そのどれもよく立っている。
左、右、左、右、左、右、下。
合間合間に表情を盗み見るけど
どれも『曖昧』
感じてるんだか、感じてないんだか、、。
だけど、演技でしょ?
余裕のふり、そうでしょ?
だって
蜂蜜塗ったみたいだよ?
私がうまいの?
あなたが燃えやすいの?
うん。多分、どっちも。
するすると体を撫でて、下腹部を通り過ぎる。
甘い甘い蜂蜜を口いっぱいで舐めまわすと、
舐めとったつもりが、より一層に漏れる。
『好き?』
『えっ?』
『これ。』
『あ、あぁ、、うん。』
なによ?
“私のこと好き?”
って聞いたとでも思った?
だとしたら何?
だとしたら何よ。
そんな悲しい顔しないで。
指先を舌で潤す。
そんなことしなくても、もう十分だけど。
『・・・』
『・・・』
時がきても無言。
のっちがあえがないから、私も喋らない。
ぬるりと指先にまとわりつく感触。
感情も、行為も、
嘘のように続くのに、この感触だけがリアル。
リアルで、、怖い。
どうにかなってしまいそうだから。
優しくするつもりもないし、甘えるつもりもない。
ただ自分がよくなりたいだけの自分勝手なセックスでよかった。
だって恋人じゃないし。
これからそうなれそうにもない。
そんな顔をのっちはする。
“いいよ。一回だけね”
“一回やったら諦めて”
“だから今だけ好きにしていいよ”
そんな顔。
イライラする。
思い通りにいかないことがこんなにも腹立たしいの?
思い通りに、、
なりなよ、、のっち、、。
動きを強める。
意味があるよ、のっち、、。
激しさを増す。
私には
意味があるのよ、のっち、、。
『いたっ、、、』
———え?———
、、、ん?
、、、へっ?・・・ち?、、、
、、、血?はっ?、、えぇ、、、。。
『いや、あ、ごめん!!』
熱を持ったお互いの体。
引き寄せたのは私。
引き離したのも私。
指先に薄い赤。
『ご、ごめ、、ごめん!!』
『てかっ!!、、言って、よ・・・』
ずるい。私は。度胸がない。
まぁ用意もしてなかったけど。
だけど仕掛けたのは私なんだし。
でも策に溺れたのも私。
『は、じめてな、ら、、』
知ってたら?
抱かなかった?
いや、違う。
それでも抱いていた?
いや、わからない。
ただ、感じたくもない罪悪感は、ある。
それは同時に、認めたくない感情をつれてくる。
『いや、てか、、、』
寝転んだ彼女が体を起こす。
膝をまげて、体育座りで、後ろ手をつきながら、
呆れたように笑って髪を耳にかける。
『・・・つめ。』
『・・・?』
あ、あぁ、、、えっ?
『そんな長い爪で、中、ひっかきまわすんだ?』
ああ、まったく。
憎たらしくて、
まったくゾクゾクする。
つづく
最終更新:2009年06月17日 12:06