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「…のっちって、眼鏡かけてたっけ?」
テーブルに頬杖ついて、シャーペンをクルクル器用に回すのっちに問い掛ける。
「ん、たまにね。コンタクトばかりじゃ目が疲れるから」
「ふーん…」
広げたノートの上に頬を乗せると、なんか変なの?と今度はのっちが問い掛けてきた。

「…なんか、違う人みたい」

のっちは少しだけ眉を八の字にする。
「眼鏡かけてものっちはのっちだよ?」
相変わらず眼差しは、いつもの優しさを纏っている。
でも、どこかしっくりこない。
やっぱり何か違うんだ。

「…ちがうもん」
「違くないよ」
「ちがうの…だって、なんか落ち着かんもん…」

ゆかとのっちを隔てる、レンズの壁。
…多分、これのせい。

「…これ、じゃま」
「え、ちょ」


のっちから眼鏡を外す。
途端に眉間に皺が寄った。
ピントが合わないのを何とか合わせようとしてるから、いつもは大きな瞳が今は細められている。
「何も見えない?」
「うーん…すっ、ごい、ぼんやりしてる…」
「…じゃあ、そのまま見なくていいよ」
「は、え…?」


ちゅっ。

小さな音を立てて繋がる唇。

…のっち、リップクリームつけなきゃ駄目じゃろ。カサカサしとる。


「……確かに。眼鏡、邪魔だね」
柔らかく微笑むコイビトは、確かにゆかの事がちゃんと見えてないのに。
「ゆかちゃんが拗ねるもんね」
まるで見えてるかのように告げた。

「ばか。ばかのっち。知ったかぶりせんでよ」
「…違うの?」

そういう時は見えてないフリしてよ。ばか。



終わり





最終更新:2009年06月17日 12:08