サイドK
あ、違う?
初めて、、な、わけ、ないか、、。
安心と失望。両方がざわめきだす。
私は一体どっちを期待していたんだろう?
『あ、あぁ、、爪か・・・ごめん。』
呆れたように笑ってた彼女の顔は意地悪に歪んで、
色っぽく有害な空気をまとった。
彼女の腕がのびる。
ためらいなく私の赤く色付いた指先を手にとる。
あ、また笑った、、。
あぁ、毒だな、これは・・・。
有害か無害か。
間違いなく、有害。
『痛いくらいが好きなの。』
指先が再び沈む。
彼女に導かれ、私は動きだす。
『んっ、、、くふぅ、、んぁあ、、、』
何かに吹っ切れたみたいに洩れる声。
戸惑ってる私を意地悪に見つめる目。
『ん、、もっと、、んぁ、、つよく・・・』
どこへでも行けそうな長い柔軟な腕が伸びてきて
私の髪に両手を沈める。
『か、しゆか?』
『・・・ん。』
『深いキス、、しようか?』
秘密を共有する合図みたいにこっそり笑って舌を出したのっちの顔が近づく。
あ、また笑った。
あぁ、毒だな、これは、、。
深いキスに深くささる指先。
目が合えば深い深い渦に巻き込まれる。
二人分の体を起こす。
そのまま上に座らせる。
近づく顔、体、息、熱、私の太ももにたれる蜂蜜。
『のっち?もっと、、いい?』
いいでしょ?
痛いのがいんでしょ?
『いいよ』
笑って答える。
そんなこと知ってる。
『気持ちい?』
いいでしょ?
痛いくらいに?
『うん。すっごいやばい』
目を細めて、色っぽい顔。
蜜も音も声も洩れるから、
のっちが急に声をあげるから、
急にあえぎだすから、
・・・有害だな、これは。
間違いなく、有害。
思考回路が壊れるじゃない、、。
サイドN
いったいなぁ、もう、、。
抱く気があったなら爪ぐらい切ってよ、、。
それとも、、
痛いくらいのほうが好きなの知ってたのかな?
ひっかきまわされ、薄い赤をまとう指先を見て
笑っちゃうくらいに慌ててる。
かしゆか?そんなに慌てて、なんなん?
ただしたいだけなら
別に冷たくしてくれていいんだよ?
こうなったら、
こうなったら、、
もう、誘うしかない。
私の思い通りになる?
『曖昧』なセックスなんてやめる?
痛いくらいに抱いてくれる?
だって、私はもう、
あなたの有害な酸素に蝕まれて
体中に毒がめぐってるんだもん。
つづく
最終更新:2009年06月17日 12:52