<side Mr.Yasutaka Nakata>
学園祭12日前。中田宅。
「出来た....。」
もう3日寝てない。パソコンにかじりついていた。
早速樫野にメール。樫野に頼るのも悔しいが、あいつしか頼れる人もいない。
「おはよう。完成したので今日の放課後また時間ください。 中田」
ひどい短文だが、長文で打つとまた変態とか言われてしまうだろう。
気持ち悪いとか言われるのは勘弁だ。ふと時計を見る。
「時間ヤベぇ!」
オレは急いでスーツに着替えて鞄を引っ掴むと慌てて出勤した。
朝のホームルーム後。教室。
樫野がオレのところに来た。
「先生、今日の放課後の件なんですが、そろそろ二人にも来てもらったらどうかと思います。
いくら得意でも10日じゃキビシいし、水野先生の件もありますから....」
あぁそっか。オレも考えてなかった。というか実はもう少し手直ししたい...
が、樫野にそんな事言ったらバカにした目で見られるのは分かりきってる。
「分かった。じゃあ二人には樫野から言っといて。それからあっちの件なんだが...」
樫野の目が輝いた。表情も最高の笑顔に変わってる。
「大丈夫そうですよ。でも早くくれって。待たせちゃダメですよ。
本当はあたしたちのなんて後回しで良かったのに... 優先順位考えてくださいね。」
笑顔でこんなこという樫野って悪魔だよなぁ。つくづく思うけど。
「分かってるよ。また頼む。」
「あれ、先生、頼むってことは分かってますよね?旨ミルクですよ。」
「はいはい。わかってるよ。じゃあ後で。」
彼女には色々と働いてもらってるので報酬にいつも購買一の人気を誇るアイスを買ってやってる。
手痛い出費だが、仕方ないだろう。
昼休み。職員室。
1現から4現まで全部授業だった。睡眠不足のオレにはかなりキツい。
学校の近くの食堂から買ってきた牛丼を広げた。あぁ、腹減ったな。いただきま...
「中田先生また丼モノ?」
クスクス笑うのは保健室から戻ったこしじま先生。
「いいんすよ。丼モノ腹もちいいんで。そういう先生だって結構食うでしょ。」
「でも毎日それじゃあたしだったら飽きるよ。」
本当に楽しそうに笑う。正直可愛い。ってか大人の魅力か。
「いいんですよ、日替わりですから。」
あぁ、オレ今多分顔真っ赤だ。
「そういえば樫野さん来てた。まだなの?早くくれなきゃ流石にアタシでもキツいよ?」
「あぁ。すいません。明日までには。」
「は~い。」
手をひらひらと振って去って行くこしじま先生。
こしじま先生は話しかけやすいし一番相談しやすいけど、彼女といるとオレはオレじゃなくなる。
まだ良く分かってない感情がオレの中にある気がする。
多分それをわかってるのが樫野。今思ったんだが樫野とこしじま先生似てねぇ?小悪魔感が。
ごちゃごちゃした頭をすっきりさせたくてオレは飯をかきこんだ。
そして咽せた。
放課後。教室。
ホームルームを終えて教室に残ったのは三人。
気持ち悪い程にニヤニヤする西脇。半分寝てる大本。何度も頭がおちてしんどそうだ。大丈夫か。
そしていつもの笑顔の樫野。
オレは今からこの三人に頼み事をする。
これは三人じゃなきゃ成立しないし、この三人以外は最初から考えていなかった。
樫野はもう了解をくれた。ほかの二人にも了解をもらわなきゃいけない。
本当にいいものが出来るって言う確信がある。
...頼むぞ。 オレは深く深呼吸して話を切り出した。
最終更新:2008年10月10日 22:59