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足取りは自然と早まっていた。
握った手に力が込められたのはお互い同時で。
寄り添うように座った電車の中も、久しぶりに二人で歩くあたしのアパートまでの道のりも、
お互い強く手を握り合ったまま言葉はほとんど交わさなかった。


鍵を開けるために離れた手。
玄関のドアを閉めるのと同時に、再びその手を掴み、彼女を抱き寄せた。


帰したくなかったのは、あたしの方だ。


のっちによって中途半端に上げられた熱がまだ身体の中で燻ってる。
こんな状況で彼女に触れるなんて卑怯な行動でしかないのに。


だけど、あんな言葉で煽られて、理性のコントロールは困難だ。


らしくない、なんて頭の片隅で考えながらも、少しだけ困ったように微笑んだ彼女の唇を無遠慮に奪う。
わずかな隙間をこじ開けて舌を差し込むと、遠慮がちな舌が応えてくれた。
絡み合う舌と時々洩れるお互いの吐息に、昂っていくものが止まらない。




いつだって、あたしは彼女に対して必死すぎる。
ダサいくらいに必死で、みっともないくらい余裕がない。


彼女を抱きしめる時でさえ、いつもあたしは壊してしまわないように必死だ。


あの日がフラッシュバックしないように。
あたしが、きっと、いちばん必死で、いちばん卑怯だった、あの日を。
繰り返してはいけない。



狂おしいのほどのこの愛は、狂気だから。





最後の理性をかき集めて、片手で電気のスイッチを探る。
パッと柔らかい明かりがあたしたちを照らし、そっと唇を離した。


「ごめ、、余裕なかった、ね」


かっこわる。。
そう心の中で呟いて、彼女の肩口に項垂れるように額を宛てる。
小さく深呼吸すると、朝よりも少しまろやかになった甘くて華やかな香りが鼻をくすぐった。


本当、どうかしてる。
まったく、のっちじゃないんだから。


熱を冷まそうとしたのに、あ〜ちゃんが背中に腕を回して抱きしめ返してきた。


「ゆかちゃん、カワイイ」


なんて。
どっちがよ。。


「ホントに、、帰らなくて平気なん?」


今更、帰すつもりもないけど。


「・・・今日くらいは、一緒にいたかったから、、」


自然と密着する身体。
彼女の柔らかい感触と、不思議とさっきよりも強く感じる甘い香りに、
せっかくかきめた理性はあっさりとパラパラ散ってしまいそう。


「本当はね、最初から、、帰る気なんてなかったんよ?」


みんなはあたしのことを小悪魔だとか言うけど、、
上目遣いで真っ直ぐ見つめてくるこの子こそ、本当は天使のふりした小悪魔なんじゃないの?


「もぉ、、さっきから誘ってるん?」


わずかな理性に縋るように、わざとふざけ気味に言ってみたのに。
彼女の抱きつく力はさらに強くなって、さらに密着度が増す。
そして、今度は彼女があたしの肩におでこを宛てて呟いた。


「ベッド、、がいいな」


あぁ、、これは、もう、、ほんと。。
完全にあ〜ちゃんが悪い。


<er>



二人では少し狭いこのベッドに、ふたつの身体を沈めて。
密着し合う素肌はぴったりとくっつく。


だけど、どれだけ強く抱き合ったところで、ふたつはふたつで、ひとつにはなれないね。


彼女の身体の輪郭を描いていくように指先でなぞりながら、重なり合った身体を下にずらしていく。
髪の毛の先から、爪の先まで、余すとこなく彼女はキレイだ。
細い足首まで辿り着くとトロンとした瞳のまま戸惑いがちに彼女がこちらを見る。


足首をそっと持ち上げ、足の甲にキスを落とした。
目を見開いて驚いた表情のあ〜ちゃんに、そっと微笑みかける。
そのまま足の甲を舌を出して舐め上げると、ぴくんと弾む身体。


「ゆ、ゆかちゃっ」


濃いピンクのキラキラしたペディキュアで彩られた爪先を咥える。
視線を合わせたまま、指の裏側に舌を這わす。


「っき、たな、」
「汚くないよ」


口に咥えたまま喋れば、彼女は何かに耐えるようにぎゅっと目を瞑った。
その切なそうな表情が、もっと見たくて。
裏側から指と指の間まで、丁寧に舌を這わせながら一本一本、指を咥えていく。


「ふぁ、、あ、、ん、」
「どんな感じ?」
「ん、、はずか、し、、へ、んな、かんじ」


恥ずかしいよね?
分かるよ。
だって、ゆかものっちにされた時、死ぬ程恥ずかしかったもん。


でもさ、


「気持ちいい?」


でしょ?


もう一度、足の甲にキスを落として。
また、彼女の上に覆うかぶさるように重なった。


「ひゃぁっ!、、ぁ、、ん」


秘部に指を這わせれば、そこはもうとろとろで。
あたしの舌がここまであ〜ちゃんが乱しているという事実が、あたしを最高に喜ばせる。


「ふふっ、いつもより濡れてる」


堅くなった突起に愛液を擦りつけるように指先を滑らす。
水音と、彼女が堪えきれずに洩らす甘い声が狭い部屋に響く。


「ぁ、や、、ふぁぁ、、」
「・・・・も、、いい?」


無言でこくこくと頷くあ〜ちゃんの姿に、あたしの身体もありえないほどの熱を纏っていく。
固く閉ざされた瞳から流れた一筋の涙を舐めとって、ゆっくり指を沈めていった。


「んんっ!ぁ、、ゆかちゃ、、」


いちばん奥まで辿り着いたら、一度、動きを止めて。
噛みつくようなキスをした。


「あいしてる」





この愛は狂気だから。


だから、
あなたを傷つけてしまわないためにも、


後ろめたいくらいが調度いいの。



そんなの
馬鹿げてるってことくらい、
ただの言い訳でしかないってことくらい、


とっくに分かってる。



彼女を、
あの子を、
結局は傷つけてるだけってことも


とっくに気づいてる。



だけど


遠くにいたくないし
愛してほしい



朝なんて来なければいい。
あなたとふたり、ずっと世界が混ざり合っていればいいのに。
ずっとこうして抱き合っていられればいいのに。



変わらない、終わらない、なにかを探し続けてきたけど



ねぇ
どれほど過ごせばひとつになれるの?



本当はただ、
やわらかい温度で包まれたいだけなのに




それでも
新しい日がくる。




to be continued...







最終更新:2009年06月17日 13:19