「きれいだね…」
「ん?」
「月」
あたしの言葉に誘われて夜空を見上げたのっち
その横顔を見つめるのが好きで
あたしはいつも月を餌に使う
「今日は三日月だね」
「次の満月はいつかな?」
「……わからん」
「ふふ。あ〜ちゃんもわからん」
二人で目を合わせてふふって笑う
柔らかい空気に包まれながら手をとりあって、また歩きだした
「夜、気持ちいいね」
「そうじゃね」
「あ〜ちゃん…のっちね、今めっちゃ幸せ」
「何?急に」
「こうやって手繋いでさ、同じ月見てさ…めちゃくちゃ幸せ」
空を仰ぎながら話すのっち
大好きなその姿に
目の前が霞んでいく
「…ちゃんと前見ないと危ないよ」
そう言うとピタっと立ち止まって、手にはぐっと力が入った
「泣かんでいいでしょ?」
困ったような顔で眉をハの字にさせて
それでも嬉しそうに、のっちは頬に流れたしずくを拾ってくれる
「…なんで泣いてるんかわかる?」
「ふふ、うん。あ〜ちゃんのことは全部わかる」
「アホ」
のっちの肩におでこを乗せたらそっと包みこんでくれた
その体温でさえも、こんなに愛しい
「泣いちゃうほどのっちのこと好き?」
「……うん」
「のっちも。好きだよ、あ〜ちゃん」
あたしの事全部わかるって言ったけど
のっちは結局何もわかってない
この涙はね、のっち
あなたの全てを盗むために流れたの
のっちに降り注いでシミになってずっと残るように
あ〜ちゃんがずっと残りますようにって、流したんよ?
また手をとり歩きだす
この夜空の下をあと何回一緒に歩けるかな
あの三日月をあと何回一緒に見れるかな
終わり
最終更新:2009年06月17日 13:23