「のっちぃ」
「ん?」
「なんかねぇ」
「うん」
「熱いんじゃけど…」
ちょっとあ〜ちゃん?
紅い顔して、目をウルウルさせて、熱っぽい吐息を時々漏らしながら
そんなこと言ったらのっちが勘違いするでしょうが!
まぁ、理由は全部…
「ね、熱出てるからじゃろ」
うん。そういうこと。
「…そりゃそうじゃね」
「それに、二人で寝てるし…やっぱりのっち出た方が良くない?」
「…嫌じゃ」
「あ〜ちゃん?」
「…のっちと一緒に寝んの。」
なんなんですか、この可愛い生き物。
ギュッとのっちの腕を引っ張るあ〜ちゃん。
肘に当たる柔らかい感触は気付かないふり男のコで。
「て、言うても眠くないんよね…今日はお昼まで寝とったけぇ」
「あぁ…そうなん…」
あ〜ちゃんの息が耳元にかかる。
変に意識してるのはのっちだけ。
なんだか恥ずかしくて、あ〜ちゃんの方を見れない。
「のっち…どうしたん?」
「え?何が?」
「さっきより顔、紅いけど…」
「いや、これは…」
「だいじょうぶ…?」
あ〜ちゃんがのっちの顔を覗き込むと、髪の先が頬を掠める。
。
近い…近いよ、あ〜ちゃん。
そんな近づかれたら、余計顔が紅くなっちゃうから。
それに、なんかこの体勢…
「なんかこの体勢…あ〜ちゃんがのっちにチューするみたいじゃね」
「え!?」
あ〜ちゃんも同じこと思ってた?
もしかしてこれはチャンス…?
「…せんけど。」
ではない、と。
「そんな真顔で言わなくてもさぁー…」
「当たり前じゃろ…あ〜ちゃん熱出とるんよ。」
「そうだけど…」
「…のっちにうつしたくないもん。」
あぁ。何この人。
ヤバイわ。色々ともうヤバイ。
可愛すぎる。
「のっちは…うつってもいい。」
「へ?」
「あ〜ちゃん。のっちはあ〜ちゃんが心配で、早く治って欲しいからここに来たんよ?」
「うん…ありがと」
「だから、のっちはあ〜ちゃんが治ってくれたらそれでいいわけ。のっちが後で熱出ようと、ね。」
「でも…」
のっちの言葉に不満そうなあ〜ちゃんを抱きしめる。
いつもより高い体温のあ〜ちゃんの身体。
いつもより強く感じるあ〜ちゃんの匂い。
「風邪ってさぁ、他人にうつすと治るって言うじゃろ?」
のっちはただ、あ〜ちゃんの熱が憎い。
熱さえ憎い。
熱にだって嫉妬しちゃうんだからね。
「熱も、そうなのかな?」
あ〜ちゃんが何か答える前に、唇を重ねた。
ねぇ、あ〜ちゃん。
のっちにその熱をうつして。
のっちが与える以外の熱が、あ〜ちゃんを悩ませるなんて。
そんなの、やだよ。
つづく
最終更新:2009年06月17日 13:26