「あ〜ちゃん」
学食で一人ご飯を食べてたら、昨日あたしをあのバーへ連れてってくれた友達があたしの前に腰かけた。
「結局携帯見つかったの?」
「けいたい?」
「え、昨日無くしたかもーって一人でバーに探しに行ったじゃん」
「あ…そっか。携帯なら見つかったよ」
まさか、ゆかちゃんに会いたくて嘘ついたなんて言えない。
「もう、あ〜ちゃんは相変わらずぼーっとしてるね」
友達は嘘に気付いた様子もなく、あははって笑ってあたしの頭をぽんぽんする。
「また子供扱いしとるじゃろ」
「あははは、可愛い可愛い」
「もぉー!」
なんて、友達に怒ったふりをしてみても。
あたしの頭の中は、ゆかちゃんしか、いない。
「…あ」
「……?」
授業の準備をしてたら、見知らぬ人が隣に立っていた。
「昨日バーにいた…」
「あ!ゆかちゃんと話してた…?」
「え、あ、うん。大本彩乃、のっちって呼んで下さい」
「あ、あたし西脇綾香、あ〜ちゃんって呼ばれてます」
昨日ゆかちゃんを迎えにきてた人。同じ大学だったんだ。
そういえばちゃんと顔を見るのは初めて。…綺麗な顔立ちしてるなぁ。
「…えっと、ここいいかな?」
「あ、どうぞ」
…なんだか周りの視線を感じる。
「あの…」
「?」
「なんか、あちこちから見られてる気が…」
「あぁ、気にしなくていいよ。多分あたしが珍しいんじゃないかな?あんま来ないし」
「そう…」
それだけじゃないような視線も混じってる気がするけど…まぁ気にしないでおこう。
「…あ、ゆかちゃん見なかった?早くに出てったはずだからどこかにいるはずなんだけど…携帯繋がんないし」
「えっ!?…一緒に住んでるの?」
「あれ?聞いてない?」
「…うん」
知らなかった。一緒に住んでるんだ。
そうだよね、迎えに来てたんだもん。
「じゃあ、付き合って結構経つの…?」
聞きたくないけど、ゆかちゃんの事が知りたい。
「へ?付き合ってないけど…」
「……」
…どういう事?恋人同士じゃないのに一緒に住んでるって。
「ルームシェアじゃなくて、同居って感じかな」
「そ…そうなんだ…」
それでも、あたしにとってはかなり衝撃的な事だった。
じゃあ二人はどんな関係なの?なんで一緒に住んでるの?
…あなたは、ゆかちゃんが好きなの?
聞きたい。でも聞けない。
あたしがそこまで踏み込んで聞いていい話じゃないと思ったから。
でも分かる。
二人はきっとお互いを特別に思ってる事。
「ゆかちゃんとはただの友達だよ」
心の中が読まれた気がして、驚いてのっちを見た。
彼女も、ゆかちゃんと同じように小さく笑って。
「だから気にしないで」
と言った。
最終更新:2009年06月17日 13:28