体が入れ替わって、二度目の朝が来た。うーん腕や肩が痛い。一晩中、手を固定されてたら嫌でも痛くなるよね。
あ~ちゃんが、急にのしかかって来た。朝から大胆だよ。
「なんで助けてくれんかったんよ!!」
あ~ちゃん、涙目。ちょっと待って。何を泣いてるんですかお姫様。
「昨日の夜…!なんべん助けてって言っても起きてくれんし!アホみたく爆睡しとるし…!」
ハッとした。のっちの姿のあ~ちゃんの首筋には紅い痕が。これは、噂に聞くキスマークという奴では?
つまり昨日の夜、のっちが寝静まった後、襲われたんだね?ちゃあぽんに。
「ご、ごめん気付かんくて…」
「のっちのアホ!もう知らん!」
そう言って部屋を飛び出してしまった。待って!せめて手錠は外してってよ。
◆A-side◆
昨日の夜は、やっぱり…な展開。昨日のっちにも言ったけど、初体験が自分とか最悪。だけどそれよりも最悪なんは初体験が妹だって気付いたよ。
準備をして家を出た。のっちが待ってーとヘタレ声で叫びながら追いかけてくる。
今日でこの非日常的な生活ともおさらばだ。やっと自分の体に戻れる。そう考えると嬉しい反面、少し切ない。
◆◇◆◇
学校の前でゆかちゃんと合流。ゆかちゃんは、あ~ちゃんをジーッと見つめる。え何何?顔に何かついとる?
「あ~ちゃん、首のソレ…キスマーク…?」
あ、隠すの忘れてた。後でファンデーションとコンシーラーで隠さなきゃ。
「……。」
ゆかちゃんはのっちを睨んだ。のっち、慌て気味。
「のっちじゃないよ!それは昨日ちゃあぽんが…もがっ」
そんな事ゆかちゃんに教えんで良ぇって!慌ててのっちのおしゃべりな口をふさいだ。
「あ~ちゃん、また襲われたん!」
ゆかちゃんの言葉にグサッと心に棘が刺さる。…大丈夫、キスマーク付けられたくらいで他は何も無かったから。って大丈夫じゃないか。
「のっちなんで助けてあげんかったんよ!」
「寝とって気付かんかったんよ…」
「はぁ?どんだけ爆睡しとるんよ」
そうだそうだ。ゆかちゃんもっと言ってあげてよ。のっちがうんと反省するまで。
そんな感じであたし達は校門をくぐった。
◆◇◆◇
靴を履き替えようと大本と書かれた下駄箱を開けたら、そこには数枚のラブレター。全く、毎日毎日懲りないねぇ。
それにしてもモテモテなのっちに軽く嫉妬。なんでこんなモテるんよ。
まぁ理由は人それぞれだと思うけど、のっちを好きな気持ちはあ~ちゃんも負けない。誰にも負けないよ。
あ~ちゃんはライバル達の書いたラブレターをバックに押し込んだ。
けどごめんね。君達の王子様は今夜、あ~ちゃんのものになるんだよ。体が元に戻ったら、あ~ちゃんだけの王子様に。
「あ~ちゃん!早よせんと遅刻だよ」
ゆかちゃんの声にハッとして、慌てて二人の元に向かった。
◆N-side◆
教室に入ってすぐ、チャイムが鳴って先生が入ってきた。おーナイスタイミング。退屈な古典の授業。
でも大丈夫。じゃじゃーん!今日はPSP君がいるからね。あ~ちゃんと違って不真面目だからね仕方無い。
早く昼休みにならないかな~。あ~ちゃんママ手作りのお弁当を早く食べたいよ。
◆◇◆◇
午前の授業はあっという間に終わり昼休みに。やっぱゲームは良いね。やり過ぎて親指が痛い。
ゆかちゃんがお弁当を持ってやって来た。
「あ~ちゃんまだかな?」
いつもこの教室で三人一緒に食べるんだ。昨日もそうだった。
しばらく経ってもあ~ちゃんは来ない。もうお腹ペコペコで我慢出来ないよ。
そんな中、校内放送がかかる。
『生徒会役員は今すぐ会議室に集まって下さい。繰り返します…』
「あーすっかり忘れてた!のっちごめん、ゆか行かにゃ」
「あ、うん…」
慌ただしく走ってくかっしー。どうしよ。一人になっちゃった。
それにしても遅過ぎだよあ~ちゃん。もしかしたら何かあったのかも。のっちはあ~ちゃんの分のお弁当も持って、あ~ちゃんを探す旅に出た。
お腹が空き過ぎてグルグル鳴ってる。足が自然と速まり、目はキョロキョロとあ~ちゃんを探す。
保健室の前を通り掛かった時、中から聞き覚えのある声がした。間違なく自分の声。あ~ちゃんだ。
「あ~ちゃ…じゃなくて、のっち!どうしたんよ」
危ない危ない。危うくあ~ちゃんって言いそうになった。のっちに気付いたジャージ姿のあ~ちゃんは気まずそうにうつむいた。
椅子に座ってるあ~ちゃん。その足首には湿布が。そうか。さっきの時間、体育だったんだっけ。
「これで大丈夫、先生会議だから職員室行ってくるね」
保険医の先生があ~ちゃんの頭を撫でて、保健室を後にする。
「あ~ちゃん大丈夫?」
「うん、軽い捻挫じゃと」
「そっかぁ」
なんだ、ちょっとホッとした。
「ごめんね…」
「?なんで謝るん?」
「のっちの体に…怪我させちゃった」
あ~ちゃんの顔を覗き込むと、目には涙を浮かべていた。!?やめてよのっちの顔で泣くのだけは。
「ご飯食べよご飯!のっちお腹ペコペコで死にそうじゃけぇね」
そう言って横のベッドに腰を下ろした。お弁当を差し出すと、あ~ちゃんは嬉しそうに受け取った。
「ゆかちゃんは?」
「会議行っちゃった」
「そうなん。二人きりじゃね」
二人きり?その一言に反応した。元の姿だったら最高のシチュエーションなのかも。
先生の居ない保健室。カーテンに仕切られて二人だけの空間。そして純白のシーツに包まれたベッド。
あぁ、あのエロ少女漫画の読み過ぎかも。でも良いかも…保健室エッチ…。きゃーエッチとか!まだ早いよー!
「のっちキモい」
「あ、すんません…」
あ~ちゃんが引いた目で見ている。いけないいけない。また一人で想像してニヤけてたみたいだね。自重しないと。
そこに、扉の開く音と共に二人分の足音が。そして鍵をかける音。
「二人きりだね…」
女の子の声。ちょっと待って。まさかの急展開に思わずタコさんウインナーが箸から滑り落ちた。
◆12:End◆
最終更新:2008年10月10日 23:07