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まだ、好きだよ・・・?


彼女の耳には届いたのだろうか?


ベッドの傍、床にぺたんの座り込み
頭をふとんの上にあずける。

目の前には、目を瞑り
規則正しい呼吸を繰り返す
愛しい彼女。


      • 聞こえてるわけ、ないか。


聞こえていたら・・?


さー・・・・さー・・・・


うまくまとまらない思考は、雨に流されていく。


相変わらず、カタチのいい頭。

ちょっとくらい・・・いいよね?


そっと、手を伸ばし
さらさらと髪を撫でる。

そこから、伝わる熱。

熱い・・・・これじゃ、寝込んで当然だ・・・


口元から洩れる熱気を微かに感じられるキョリ。

こんなに近くで、見つめるのはいつぶり?



間違いなく、あの時、以来だ。

だって


別れて初めて、この部屋に来た。


相変わらず、無防備な寝顔。

ま、寝顔ってものは、無防備なものなんだけど…


夜を越えて朝へ

共に過ごした頃は


寝るのも起きるのも、
ゆかが先で、のっちが後、だった。


一足先に目覚めるベッドの上
口元が少し緩んで開いた
彼女の寝顔を見るのが、なによりの幸せで・・・


こうしていると、あの頃に戻ったような気がして
ふと、ココロが緩むけれど

遠くで響く雨音が、現実を虚しく告げてくる。




—・・・いいよ?別に


さっきの、彼女の言葉がフラッシュバック。


処分してない、合鍵も
お揃いで買った、ピアスも


いいよ?


ねぇ、、どう、いいの?

ねぇ、、なにが、いいの?


ゆかには


『別に、“どうでも”いいよ』て聞こえて


泣きそうになった。


—あ〜ちゃんがいるもんね?



      • だから?





あれから、ずっと

あ〜ちゃんは、ゆかのそばにいてくれてる。


あ〜ちゃんがいたから、ゆかは

自分を見失わないですんだ。


けど・・・



欲しいのはただ一人


のっち?


今なお、貴方だけ。


カラダを少しだけ起こし
ゆっくりと、部屋を順に視線で辿っていく。


あのころと、変わらない風景。

ただ一つ違うこと。



ゆかがいた、
その痕跡はどこにもなかった。


最初から、そこにはいなかったように・・


合鍵に、ピアス、、、一緒に撮った写真・・・


のっちとの想い出を
何一つ捨てられないゆかとは対照的なその風景。



ぎゅー・・・


胸が締め付けられ、苦しい。

息が、うまくできない。


あぁ、、、そっか


こんなにもまだ


愛しちゃってるんだ。。。



再確認。


そして、苦笑い。




でも・・・



ふと、無造作に机の上

置かれた、リングに目が止まる。



初めて、お揃いで買ったそれ。


たった一度、恋人として過ごした彼女の誕生日。

のっちは、ゆかのもの。

そう、みんなに知らしめたくて
ペアリングをプレゼントした。

結局、あからさますぎて
堂々と身につけることはできなかったけれど・・・



のっちは、ずっと

肌身離さず持っていたこと

あの誕生日から

そして

あの日からも、ずっと


持っててくれてること


知ってるよ?


ねぇ、なんなの?ほんと・・



あたしたち


なんでこんなことになってんだろうね・・・



そっと


机の上に転がるリングを手に取る。



ゆかのリングは、引き出しの奥に

あの頃の想い出とともに置き去りにされたまま・・



触れると全てが崩れてしまいそうで


それだけには、触れられないでいた。



親指と人差し指で、リングを玩ぶ。


ん?


          • えっ・・・?




全身を流れる血液が逆流する。


ぶわっと、なにもかもが攫われる。




あぁ、、、、もう・・・


窓の外


雨はもうすぐ止みそうだというのに


ゆかの頬を流れる涙は、止まりそうにない。



のっちを想うこの、狂おしいほどの愛情に


終わりがないように。。。



のっち?


貴方はずっと


ずっと傍で


待っていてくれてたんだね。



揺らいでたのは、ゆか。


涙を、止まない雨にしてしまったのは、ゆか。



その雨に打たれ


のっちは、風邪をひいてしまったんだ。


なんて、ただの自惚れ・・?


だとしてもかまわないよ。


雨が上がる前に



きちんと


けじめをつけてくる、、、ね?






最終更新:2009年06月17日 14:12