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Side K
昨日に引き続き、暑さから逃れるため、図書館へ。
そこでバイトしているのっちは当然いるわけで、私達を見つけて寄ってくる。

また椅子を引っ張ってきて座る。
「ちょっと、のっち。こんなとこでサボってて良いの?」
「え?平気平気。館内の見回りってことになってるから。」
「あっそ。」

のっちがあの人と従兄弟。
でも、似ているところがたくさんあっても、同じ人物じゃないから違う所だってある。
あの人はサボりはしない。


Side A
二人の会話を聞いてると、彼女はココでバイトをしているみたい。
それから、彼との違いを知って少しホッとする。

どんなに似ていても、違う人なんだなって思うから。

ゆかちゃんが本を探しに席を立つ。
「あ〜ちゃんに変なことしないでよ?」
「え?変なことって?」
きょとんとする彼女。
「…ま、いいや。」
ふぅ、と呆れたように席を離れていくゆかちゃん。

…。
……。

しばらくの無言。

ふと彼女を見ると、彼女は本を読んでいた。
黙っている横顔は、昨日ゆかちゃんが言ったようにとてもキレイ。

ふと彼女があたしを呼び止めて、言いかけたことが気になってしまった。
「ぁの。…大本、さん。」
「ん?」
あたしの呼びかけにすぐ反応して、顔を上げて目をキラキラさせる彼女はまるで、飼い主に呼ばれて尻尾を振る子犬みたいな表情。

彼も最初の頃そうだったな。
あたしに『バッカじゃないの?』って言われて嫌われたと思ったみたいだから。
呼ばれただけで、喜んでた。

「昨日、何て言いたかったの?」
聞いてしまった。
こんな質問しなければ良かった。
「?あぁ、あれ?」
ははwって照れたように笑ってから口にした言葉。

それはまだ、あたしには早過ぎた。


「なんか、すっごい好きになって欲しいって思っちゃったから、付き合ってくれない?ってw」
『今、すげぇ好きになって欲しいって思ったんだけど、オレと付き合ってくれない?』

あぁ、ダメだ…。
苦しいよぉ…。


Side K
本を手に戻ってきたら、二人が顔を見合わせていた。
何か話してる?
近づいていくと聞こえたのはのっちの言葉。

「なんか、すっごい好きになって欲しいって思っちゃったから、付き合ってくれない?ってw」

それは…ダメだよ。のっち。
私がいるのも気にせず、あの人があ〜ちゃんに告白した言葉。

あ〜ちゃんの顔が歪む。
「ごめん、ゆかちゃん…。あたし帰る…。」
道具をしまった鞄を手に、あ〜ちゃんはその場を去っていく。

のっちがこっちを向いて聞いてくる。
「ゆかちゃん、もしかしてあの人と被っちゃった?」
私はひょいっと肩をすくめて、それに答えた。
「やっばぁ…。」
やってしまったという表情で、おでこを机に軽くぶつけてる。

「あ〜ちゃん心配だから、私も帰るわ。」
玄関まで行くと、来る時は小雨だった雨が本降りになっていた。
あ〜ちゃんの傘が置きっぱなしだった。

あ〜ちゃん…。

「あ〜ちゃんて、ゆかちゃんちに住んでるんだよね?」
傘をとっている私の後ろから、のっちが尋ねてきた。
「そうだよ?」って答えると、物凄い勢いでのっちは、雨も気にせず外へ走っていった。

はぁ〜。良いけどのっちバイトは?
それから、あ〜ちゃんの行く方向ちゃんと分かってるの?

中途半端な気持ちなら止めてよね。あ〜ちゃんが傷付くだけだから。


—つづく—






最終更新:2009年06月17日 14:14