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幸せな夢を見て、幸せのまま起きる。そんなことを叶えてくれる、人が居る。



「ちきゅうはまる」



重たい瞼を開くと、眼前に寄せられているのは彼女の顔だった。
ゆかちゃんの黒い髪がひと房(それは一滴、と形容してもいいくらい滑らかで、きれいなのだけど)垂れてきて、のっちの頬をくすぐる。
「目、さめた?」
かすれるような笑い声とともにのっちに投げかけられる問いかけも、くすぐるようだ。
こんな朝から、こんなのっけから、これはすこしまずいよなあ。
目をごしごしとこすりながら頬に垂れたひと房を指でつまむ。
目の前で揺らして、口に含んだら怒られた。
「ヘンタイ」
まだ頭が起きてないのかも。そうなのかも。
ゆかちゃんの髪の毛はつるつると朝の光を反射して光っていて、芸術なのだった。
ゆかちゃんはベッドから抜け出せないのっちの顔の右側に肘をつき、その先の大きな手のひらで自分の髪の右半分を束ねている。
あまりお目にかかることのできない耳からはピアスが確認できる。
ゆかちゃんがしびれを切らす。のっちの唇にキスをひとつ落として、早く起きるように催促した。

のそのそと、ベッドから降りる。先にリビングへ行く恋人の背中を見ながら。立ち上がると寒かった。
振り返り、ベッドから毛布一枚取り出していく。恋人は今日の朝ごはんのメニューを上機嫌で話す。

そんなことより、君の耳たぶが味わいたいだなんて、そんなことは黙っておく。




end




最終更新:2009年06月17日 14:18