side N
冬の太陽は早々と顔を隠し、まだ6時をまわったばかりなのに外はもう直ぐ夜だった。
窓の外には誰も居ない中庭と、反対側の校舎の灯りだけが見える。
ひとりの教室には暖房の音が響く。
ここに来るはずの彼女を想って、少し切なくなった…。
「ゆかちゃーん」
小さく彼女の名前を呼んでみる。
もう一度、目を閉じて
「ゆっかちゃーん」
『なぁに?』
返ってきた返事に目を開けるけど、彼女は居ない。
「幻聴w」
少し笑って、背伸びをした。
窓の外、誰も居ない中庭と、反対側の校舎。
その校舎に、廊下を歩くゆかちゃんが見えた。
迎えに行こうと立ち上がって、直ぐに動けなくなった。
「あいつ…」
けど、
次の瞬間には教室を飛び出していた。
渡り廊下を抜け、角を曲がる。
「あっ、のっち」
優しく手を降るゆかちゃんの隣にあいつ…。
づかづか近づいて、
ゆかちゃんの手を掴むとそいつを睨みつけて、また教室へと走った。
途中、ゆかちゃんが何か言ったけど私の耳には入らなかった。
side K
痛い…
掴まれている手首が痛い
痛い、痛い、、、
教室に入っても、のっちはゆかの手首を掴んだままで、窓の外、向こう側の校舎を睨んでた。
「のっち…?」
手首を掴んでいる手に力が入る。
「っ!痛いっ」
「えっ!?あっ!ご、ごめん」
振り返ったのっちはいつもののっちで、
離された手首は少し赤くなっていた。
それに気付いたのっちは、今にも泣きそうな顔で今度は自分の手首を握った。
「ごめん…ごめんなさい」
「うん、大丈夫」
「ごめんなさい」
「佐藤君となんかあったの?」
「…」
「のっち?」
「…帰ろ、、、?」
「…うん」
痛い…
離された手首と胸が痛い。
痛い、痛い、、、
最終更新:2009年07月17日 22:21