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朝を何度迎えたら、あなたを忘れられるんだろう。
いつだって目が覚める前に浮かぶのはあなたの優しい寝顔。
冷たい左側。
私の手を遮る物がないベッドの上で静かに涙を流すの。
笑っていてねってあなたは言ったけど、そんなの無理だよ。
あなたがいないだけで笑顔の作り方すら思い出せないの。
あなたに会いたいよ。


のっちに会いたいの。



雨が降るから君に会いたくなった。
いつだって側で笑っているものだと思ってた君が隣にいない。
当たり前なのになんでこんなに寂しいんだろう。
灰色の空に、浮かぶのはいつだって君の泣き顔。
閉じ込められるとか、そんな存在じゃないって知ってたけど現実はどうしてこんなに残酷なんだろう。
会いたいよ…。


あ〜ちゃんに会いたい。



桜が咲いて、桜が散って私達はすれ違った。
どっちが悪いとかそんなのなかったけど、どうしてだろう…不安になったの。
お互いが信じることを忘れてしまったのね。
別れがまるで自然な事に思えた、あの時の私はきっとどうかしてたのよ。
今になってあなたの存在の大きさを知るの。
バカだなって笑って欲しいけど、それすら許されない。
過去が私を縛るの。
あなたがいないことがこんなに苦しいことだって知らなかった。
甘えてたのは私の方だった…。


のっちの存在に今も包まれていたいよ。



手を離した事、すごく後悔してる。
君が必要だって離れて分かるなんてどうしようもないよね。
雨音が強くなる世界で私は一人ぼっち。
街を歩く人の傘が目の前を通り過ぎていく。
寂しいって呟いても、誰も気がついてはくれないんだ。
濡れた前髪から雫が一つ落ちた…。
君の涙の様に透き通ったキレイな雫で、胸がギュって締め付けられるよ。
こんな日々がこの先もずっと続くのかな。
耐えられるかな…。


あ〜ちゃんを忘れることなんて私にはできないよ。



太陽の出てない空は私の心を表してるみたい。
私を太陽だって言ったあなたを思い出してまた少し涙が零れた。
いつになったらあなたを思い出しても泣かずにいれるんだろう。
本当は弱いんだよ?
一人になんてしないでよ。
強がりな私を一番知ってるでしょ?
会いに来てよ!
会いに来て抱きしめてよ!


のっちをまだ好きだってちゃんと伝えるから…私の涙を止めて。



幻聴のような君の声が聞こえた気がした。
悲鳴のような君の声。
世界の色が無くなったように私の意識は君だけしか映さない。
足が一歩雨の中に出た瞬間から、もう止められない。
雨脚は更に強くなって私の体を打ち付ける。
駆ける、君のもとへ。
君との糸が切れていないって信じているよ。
君を抱きしめるのは私だけでいい。
走り続けて部屋の前で来たけど押せないベル。
近くて遠い場所にいるみたいだ。
深く息を吸い込んで奮い立たせる心。
私の色を取り戻すために、君ともう一度やり直したい。
ゆくっりと右手を伸ばした。
君を呼ぶよ。


あ〜ちゃんが必要なんだ。



静かだった部屋に私を呼ぶベルが鳴る。
放心状態の私を呼ぶのは誰?
ゆっくりとしか動かない体が重くて私の体じゃないみたい。
こんなに動くのが辛いなんて。
どこまで落ちてしまうんだろう。
あなたがいないだけ、ただそれだけの事なのに私にはとても大きなことみたい。


「はい」


久しぶりに声を出した気がする。


「…あ〜ちゃん?」


どうしていつもそうやって大事な時に現れるんだろう。
驚くとかそれ以前にこれは夢なのかな?
あなたの声を聴くのもとても久しぶりで何も言えないよ。


「あ〜ちゃん、開けてはくれないの?」


優しい声は変わらないんだね。
やっぱりあなたじゃなきゃ私はダメなんだよ。


「のっちぃ…」
「開けてくれないと…」
「うぅぅ…のっち…」
「あ〜ちゃんの涙、止めてあげられないよ?」


玄関までの距離がもどかしい。
バタバタと足がもつれるけど、それすらももどかしい。
あなたが私を呼んでくれてる。
もう会えないって思ってたあなたがいる。


「のっち!!」
「あ〜ちゃん!!」


久しぶりのあなたの温もり、あなたの感触、どれもが私に必要な物。



ドアが開いた瞬間に自然と私は君を抱きしめていた。
懐かしい君の香りがして抱きしめた腕に力がこもる。
背中越しに閉まるドアの音。
泣いてたんだ…。
そっと君の頬に手を当てると瞳を閉じて確かめるように私の掌を握る君。

「久しぶりだね。ごめん、一人ぼっちにして」
「ううん、あ〜ちゃんものっちを一人ぼっちにしたもん」
「泣かせてごめんね。もう泣かしたりなんかしないから」


「…すき」


息を吐き出すように君は呟いた。


「今もずっと、のっちが好き」


ゆっくりと瞳を開けて私に微笑むから私はやっぱり君無しじゃダメだって思うんだよ。
どうしてそう私の心を溶かすんだろう。


「のっちもずっと好きだよ。苦しくなるくらいすごく好き。離れてさ、あ〜ちゃんの存在の大切さが分かったんだ…バカでしょ?」
「のっちぃ…」
「あ〜ちゃんともう一度未来を見たいな。隣で一緒に笑いあいながらさ」


らしくない事言ってるってわかってる。
心臓がバクバク言ってるくらい緊張してるから。


「もう迷ってあ〜ちゃんを泣かせたりしない、約束する。だから笑って?のっちはあ〜ちゃんの笑顔が見たいんよ」
「…あ〜ちゃんものっちがいないとダメみたい。ずっと心がポッカリ空いたみたいでずっと泣いてたの」
「あ〜ちゃん…」
「のっちじゃなきゃ嫌だよ。もう迷わない、ずっとのっちの側にいる」


お互いの存在を確かめ合うように抱きしめあう。
それだけなのにどうしてこんなに満たされるんだろう。
いままでの辛い気持ちがゆっくりと浄化されていくみたいで落ちつく。


「あっ」


君が少し身じろぎをする。


「どうかした?」
「雨…止んだみたい」


2人で耳を澄ます。
激しかった雨音がしない。


「ほんとだ、雨の音しないね」
「外見てみようよ」


手を繋いでベランダまで歩く。
それすらも幸せでまた2人で微笑みあう。


「のっち!虹が出てるよ!!」
「えっ!?あっ、本当だ!」
「…きれい」
「だね」
「…あ〜ちゃん達みたいだね」
「ん?」
「ようやく雨…止んだから」



〜end〜






最終更新:2009年07月17日 22:53