アットウィキロゴ
これはのっちの物語。
だけど、あたしの物語でもある。
なのでこれは、あたしがのっちと出会うちょっと前の話と初めて出会った時の話。

大学に入学して約半年と数ヶ月。
校舎にも授業にも人にも慣れた頃、彼女の良くない噂を耳にするようになった。
「今度は○○ちゃんが泣かされたみたいだよ」
「酷いよね、ヤリ逃げでしょ」
「んー、でものっちとだったら、あたしヤリ捨てられてもOKかもw」
「わかるわかるwてか、のっちに付いてく方が悪いよね。のっちがたらしって、みんなわかってんじゃん」
「そうそう。他の奴がたらしだったらムカつくけど、のっちだったらなんか許せちゃうんだよねw」
「「だよねーーwww」」

授業中なのに、みんなのっちの話題で持ちきり。
あたしは噂は知ってるけど、のっちの姿は一度も見た事がなかった。
入学して半年以上も経つのに一度も見かけた事ないって不思議。
どんな人だろうとは思ったけど、その時はそんなに興味は湧かなかった。

あたしは不誠実で遊び人は苦手。
やっぱり、そういう行為は愛がなきゃダメだと思うの。
まっ、あたしと住む世界が違う人だから、接する事はないと思うから大丈夫だけど。

「へー、そんな人おるん?やっぱりあ〜ちゃんと同じ大学にすれば良かったかな・・・」
「でも、あ〜ちゃんまだその人見た事ないんよね」
「見たら、写メ撮ってメールしてよ。チョー、興味あるんだけど、その子」
「って、ゆかちゃん、そんな事言っとるけど、この前新しい彼氏さん出来たばっかじゃろ」
「あー、あれね・・・。別れたんよ。あれ?あ〜ちゃんに教えてなかったっけ?」
「知らんよ・・・。てか、ゆかちゃんこれで何人目よ・・・」
「んー、わかんにゃいw」



今はケーキ屋さんでバイト中。
一緒にバイトしてるのは、幼馴染のゆかちゃん。
小、中、高一緒の学校だったけど、大学だけは別々。
でもお互いのアパートは一駅の距離しか離れてないし、バイトも同じだから寂しくない。

ゆかちゃんは恋愛に結構積極的なタイプ。
恋愛依存症じゃないと思うけど、ガンガンに責めるタイプ。
一部では小悪魔ちゃんとも呼ばれてるらしい。

あたしはというと、どちらか言えば恋愛は奥手。
何人か好きになったけど、自分から告白は出来なかった。
告白された事はあるけど、した事はない。
付き合った事はあるけど、シた事はない。
だから、ゆかちゃんみたいに積極的にアピール出来る人が少し羨ましい。
でも、ゆかちゃんがそののっちって子に、ガンガン責めていったらどうなるんだろ?
う〜ん、やっぱりゆかちゃんにのっちの写メを送るの止めよう。
なんだか、ゆかちゃんも傷ついちゃう気がしたから。


翌日の大学。
「あ〜ちゃん、ノート出しに先生の所行くから先行ってていいよ」
あたしは友達にそう言って、先生のいる部屋に向かう。
向かう途中、自販機の陰から人影が見えた。

見ると二人いて・・・なんと抱き合ってる!!
えっえっ?ここ大学の校舎内だよ・・・。
こんな所で抱き合っちゃダメでしょ・・・。

あたしは動揺して、なぜか柱の陰に隠れてしまった。
よく見ると抱き合ってるのは女の子同士。
一人は茶髪で髪が長くて小柄の女の子。
もう一人は黒髪のボブで少し背の高い女の子。
黒髪の子の手が、茶髪の子の顎をクイって上げたと思ったその瞬間、キスをした。
唇が触れるだけの軽いキスじゃなくて、唇を動かす濃厚なキスだった。
キスをしつつ、黒髪の子の手は、茶髪の子の腰とお尻を撫で回してる。
その手つきは・・・イヤラしかった。



な、なんなん!?
あたしはビックリして、ノートを落としてしまった。
その音はその子たちにまで聞こえる音だった。

茶髪の子はあたしに気付くと、逃げるようにその場を去っていってしまった。
黒髪の子はあたしに気付くと、ニュって口角を上げてこっちを見て笑った。

あたしもその場からすぐに立ち去りたかったけど、足が動かなかった。
黒髪の子が近付いてくる。
近くで見ると綺麗な顔立ちをしてる子だった。
あたしの足元に落ちたノートを拾ってくれた。

「一年、にしわき・・・あやか?」
その子はノートに書いてある、あたしの名前を読んだ。
「は、い」
あたしは名前を呼ばれたから、思わず返事をしてしまった。
「にしわきあやかちゃん・・・。いま見たの、内緒ね」
耳元でそう囁かれた。
耳にその子の吐息がかかった。
耳にその子の唇が当たった。
それだけで一気に耳から全身に掛けて熱くなった。

てか、誰なの?
あたしは、ハッとした。
もしかして、彼女が?

噂の・・・のっちなの?



そう・・・これがあたしと彼女の初めての出会い。






最終更新:2009年07月17日 23:00