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初めて二人がハコに来て以来、毎日のように二人もハコに来ていた。そして、二人が来たと同時に私は帰っていた。そう、ずっと逃げていた。
二人に対して後ろめたさもあるけど、落ち着く居場所を奪われてしまった気分もしていた。
いや、私が逃げなければいい話なんだけどさ。
こんな感じの生活が長い事続いた。何一つ、変わる事が出来ずに。
日が落ちるのも早くなり、冷えた空気が流れ始める季節。
ハコに行こうと家を出ると、携帯が鳴った。
ゆかちゃんからメールだった。
あれからも毎日メールがくる。あの日より前のは「今何してるの?」とか「大学おいで。」とか。
今は少し内容が変わって「今日はライブハウス行くよ。」とかその日出るバンドの事とかその日のライブの感想とか。
今日はゆかちゃんは来れないらしい。ってことは、あ〜ちゃん一人か。
メールの下の方を見ると、昔よく二人で行ってた時によく見た好きなバンドの事が書いてあった。
今日そのバンドが出るらしい。
実は最近そのバンドのライブは見ていなかった。曲を聞くと昔を思い出すから。意識的に避けていた。
そのバンドのライブ、よく見るように書かれてた。
ハコに着いて定位置に行く。あ〜ちゃんはまだ、来てないみたいだ。
1バンド目が終わった頃、あ〜ちゃんがやって来た。そして、いつものように私に話し掛ける。
いつもみたいに、帰ろうとしたけど、やめた。
ゆかちゃんにライブ見るように言われたし。
それに、ライブを見て昔を思い出したかった。昔みたいに戻りたかった。
あ〜ちゃんは私が帰らなかった事が嬉しいらしくずっと笑ってる。
懐かしいなぁ、この空気。あ〜ちゃんから出る柔らかな空気はいつも私を安心させてくれた。
そして、今日トリのバンド。好きだったバンドだ。
久しぶりに見たこのバンドの空気感は何も変わっていなかった。
少しずつ、思い出す自分。
「何に怯えているのかさえわからず 僕は今まで何処に居たなんてことは忘れて やがて思う 戻ることを 残された勇気が歩き始めた」
好きだったこの曲。今の私に向けられているような気がした。
こんな生活はもう終わりにしよう。次に向かって歩き始めよう。
ねぇ、私頑張るからさ。あ〜ちゃん、ゆかちゃん。私の事待っててくれるかな。
つづく
最終更新:2009年07月17日 23:13