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side k…


一人には少し大きめ
だけど、二人には少し小さめ

ベッドの上、仰向けになったあなたの上
跨り、見下ろす。


無機質なガラス玉のような大きな瞳。

でも、その奥
狂おしく燃える熱情

見据えられるだけで
カラダの芯からぞくぞくと快感が湧き上がる。



「・・・ねぇ・・?そんな気、ないよ?」
ぶっきらぼうに、つぶやくあなた。

「わかってるよ?」
微笑みながら、あなたの腰のラインに手を這わせる、あたし。


ねぇ。
あなたがあたしを
あたしがあなたを

抱かなくなって、、、どれくらい経った?


はじめはすごく戸惑った。

うぅん

狂いそうになった。


ゆかのこと、嫌いになったの!?
もう、必要ないの!?


必死に迫った。

けど・・・


すぐに気付いた。

仕掛けられた、罠。

あなたが創った世界と
二人だけのルール。


狂ってたのは、あなた?

うぅん

最初から狂ってたのは、あたし。



見下ろす先には、無防備なあなた。

カタチのよい、その頭の左右に手をつき
真正面に向きあう。

あたしの長い髪が、空間を区切り

二人だけの世界を狭くする。


「キスして、いい?」

「…いいよ?」


一瞬。
ガラス玉の瞳に、やさしさが揺らいだのを見逃さなかった。


あぁ、、詰めが甘いな、いつも・・

そんなこと考えながら

そっと口付ける。


瞬間、下唇を舐められる。


まいったなぁ・・
なにか一つ、ハズレタ。


「・・・ねぇ、、?縛っても、いい?」

「・・・いいよ?」


ベッドの下、さっきまで締めていたネクタイを手に取る。


「・・それで、縛るの?」
「んー・・・ね?これ、似合ってた?」

ネクタイを玩びながら尋ねる。

「ん?うん。ゆかちゃんにしてはめずらしいけど、、
 似合ってたよ?めちゃ、かわいかった」
「そっか、、ありがと・・・」

そう呟いて、あなたの視界を遮った。


「・・・・縛るって、、、こういうこと?」

こんな状態でも、声色一つ変わらない。


だってもう、麻痺してるもんね?

お互いに。


「んーん・・」

そう言いながら、今度は
さっきまで髪を拭っていたタオルを手にとって


「・・・どこ、縛ろうか?」


「別に・・・好きなようにしたらいいよ?」


あ、、、また一つ、ハズレタ。



ピンと左右にタオルをひっぱり
そっと、首元に落とす。


「ここ、は?」

「んー・・・それじゃ、縛るてより、締める、だね?」

くすっと笑い

「ダメ?」と、問いかける。

「やりたいのなら、どうぞ?」


あぁ、、、今夜は止まりそうにない。


くるっと、一回りさせ
軽く、力をこめる。


「ねぇ・・・?
 カラダはくれないのに、命はくれるんだ?」

「ふっ、、、コロス気なの?」

ネクタイで表情は読み取れないけれど
歪む口元が、さらにゆかを煽る。


ぐっと、腕に力を込める。


「怖く、ないの?」


なにも答えないあなた。


しばしの沈黙が二人を支配する。


「うっ、、ん・・」

彼女の口から洩れた、それを合図に腕の力を緩めた。


「コロス気なんて、ないよ?・・・命が欲しいわけじゃない」

そう言って、ぎゅっと抱きしめる。

不足した酸素を補うように、ひとつ大きく深呼吸をし

「じゃ、なにが欲しいの?」

「わかってるくせに」

「…わかんないから、教えて?」

「…わかんないなら、秘密、だよ?」


わかんない?



じゃぁ、教えてあげる。



そっと、首元に巻かれたタオルをはずし

少し紅くなったそこに、歯を立て噛み付く。
ぐっと、力を込めると

「つっ!」

のっちのカラダがビクッと震えた。

さらさらっと、視界を塞いでいたネクタイをほどく。


その少し歪んだ表情をみたら
もっと、もっと、、て思ったけれど、、、

『もっと痛くしていい?』

そのコトバは飲み込んだ。

きっとのっちは
『好きにしたら、いいよ?』
そう答えるだろう。


たぶん、今夜のゆかは止まれない。

だから

最後の、なにかがハズレル前に

欲望を飲み込んだ。


ほら、まだまだ

あたしたちは、“正気”だ。



そのかわりに、最高に甘い笑顔で

「のっちは、ゆかのものだよ?」

ユカハ ノッチノモノダヨ ?



そう

命なんていらない。
カラダだって、別にいい。
ココロ・・・は?

うぅん。

そんな、パーツに意味はない。
だから、興味はない。

ただ、のっち?


貴方が欲しい。



「・・・じゃぁ、、、しっかり縛っておかないと…
 どっかに、消えてしまうかもしんないよ?」


そう言って、揃いのリングが光る左腕を差し出してくる。


ばかだね。


縛っておかなくたって、消えていなくなりはしないでしょ?


      • イナクナンテ ナラナイヨ ?


のっちの要望に応え


ゆかの左腕と一緒に縛る。

硬く、堅く、固く、難く・・・

決して、解けることのないように。



そのまま、のっちの左腕に頭をあずけ
のっちに背を向け横になる。


ゆかに覆いかぶさるようにのっちの右手が伸びてきて
ふわっと包みこまれる。


結び付けられた左腕とは対照的な、やわらかさ。



「・・消えない、よ?」

そう呟くと

頭の後ろから


「ん・・・」

やさしい声が響いた。



絡まる指先。

硬く、堅く、固く、難く・・・

決して、解けることのないように。


ねぇ、、、きっと

解けることなんて、ないはず、なのに

なんで、こんなに
胸がぎゅっと締め付けられるんだろ?


内側から、熱い雫が溢れ零れる。



のっちが創った二人だけの世界なのに


なんだか広い世界
二人きり、取り残されたような感覚。



でも、悪くない。


のっちとフタリだけ、なら。


ゆかにとって


のっちだけが


リアル。


でも、、、



ねぇ、のっち?



早く、ここから抜け出さなくちゃ



そう、思ってるのは、、、、ゆかだけ、、、なのかな?


だって

こんなにも幸せなのに



たまらなく


セツナイだもん、、、


この、世界の片隅、は。






最終更新:2009年07月17日 23:23