Side K
水中に浮かんでいる私の身体。
トクン…トクン…
誰かの心音が響いている。
まるで包み込まれているように、優しくて心地良い。
それとは別に聞こえてくる命の音。
すぐそばに感じるソレ。
目を開けることが出来ず、確認できないけれど、確かにそこに存在している。
そして、誰かが優しく話しかけてくれる。
話し返す事が出来ないから、私は身体を動かしてそれに答える。
もう一つの存在も同じように反応してる。
そうするとその人が喜んでくれるのを知っているから。
最近はなんだか狭くなってきて、動くとどうも蹴ったり蹴られたリと大変…。
なんだか今日は外が騒がしい。
いつもの優しい声も、苦しそうで心配。
今まで暗かったこの場所に、小さな光が射し込んでくる。
私より先に、その光へと吸い込まれるように動き出したキミ。
—先に行って待ってるよ… —
キミが、そう言った気がした。
そして、聞こえてきた甲高い泣き声。
あぁ、そっか、あの光は外へと繋がっているのか。
でも私は、少し躊躇う。だってココはとても心地良かったら。
知らない場所に行くのは不安。
それに、ココに居る間の記憶が無くなるって、そんな予感がするから。
嫌なの…。
…。
—大丈夫だよ?皆が待ってるから、おいで?—
頭の中に優しい声が響いた。
『早く逢いたいな〜。』
いつだったか、優しい声がそう言ったのを思い出した。
私も逢いたい。
誰か分からないけどそう思ったんだ。
うん。大丈夫だ。
あなたが待っている。
先に行ったキミが待っている。
二人が…待ってる。
二人に逢いたい。
懐かしい何か…。
これはきっと、幸せの始まりなんだ。
だから
私もその光へと向かう。
—後編へつづく—
最終更新:2009年07月17日 23:27