N
大学を辞めて、ハコで働こうと決めた次の日。私は親とちゃんと話す為に実家に帰った。
大学に行ってない事は知らないから確実に怒られるだろうけど、やりたい事があるってちゃんと言わなきゃ。
「あら、帰ってくるなんて珍しいじゃない。何かあったの?」
「聞いて欲しい話があるんだかどさ…。」
「何?」
「実は三年になってから大学全く行ってないんだ。」
「なんで!?じゃ、今まで何やってたのよ!」
「…大学行ってもやりたい事ないし…。」
「やりたい事がないって、それを見つける為に大学に行くんでしょ!」
「そうだけど…、それでも見つかんなかったんだよ。」
「じゃ、今からでも間に合うから大学行きなさい!」
「いや、もう大学には行かない。大学辞める。」
「辞めてどうするのよ!大学くらい卒業しなさい!」
「やりたい事が見つかったから、大学辞めてそこで働く。」
「働くって何処で働くのよ!第一、高卒を雇ってくれる所なんてないわよ!」
「ライブハウスのスタッフが今誘ってくれてるんだよ!だから、そこで働きたいの!」
「ライブハウスって卒業してからでも働けるでしょ!」
「今誘われてるんだよ!一年以上も待ってられないし、大学行ったってもうやる事なんてないよ!」
「…絶対、大学卒業しなさい!そうじゃないと、許しません。」
「なんでよ!」
「なんでじゃないでしょ!絶対卒業しなさい!わかったね!」
…なんでよ!なんでわかってくれないの!
わかってくれないのが悲しくて、泣きながら家に帰った。
折角やりたい事見つかったのに…。
私はどうすればいいの…。
大学ってそんなに大事なの…。
…あぁ、そうだ。
こうゆう時は音楽を聞こう…。ハコに行けば落ち着くかも。
ハコの前まで着くと看板にホールメンテナンスと書いてあった。
…まじかよ。やってないじゃん…。調べてくればよかった…。
仕方なく、家に帰ろうとすると水滴が落ちて来た。
空を見上げると重く黒い雲が空を覆って、雨が降ってきた。
…どんだけ、ついてないんだよ…。
今日は最低の一日だ。
傘を買う気も、走る気も起きない。
ずぶ濡れになりながら、暗い道をフラフラ歩く。
重く冷たい雨が、より気持ちを沈ませる。
…もう疲れた、帰り道も忘れてしまったよ。
路上にうずくまる。
私なんかが変わろうなんて無理な話なんだ…。
きっと一生光の射す所には出れないよ…。
ごめんね、あ〜ちゃん、ゆかちゃん…。やっぱ、私無理だ。
どれくらい、時間が経ったんだろ。
体は冷え切って、意識がもうろうとしてきた時。
雨が止んで、暖かな空気に包まれた気がした…。
つづく
最終更新:2009年07月17日 23:52