side n…
うぅ・・・
左腕が、じんじんと痺れる感覚で目が覚める。
息を吸い込むと、愛しいあなたの香り。
うっすら視界を開いていくと見慣れた、艶やかな黒い髪。
それにしても、、、左腕が感覚ないんですけど・・
あぁ、、、そっか
縛られてるんだっけ?
いつもみたく、腕枕だけじゃ、こんなふうにならないよな。
きつく縛りすぎですよ、、ゆかちゃん?
ぎゅっと、抱きしめる。
最近、自分の中でルールが壊れ始めてる。
自分からは、動かない。
はず、だったのに・・・
ねぇ、どうして昨夜、あなたは泣いた、の?
覗き込んだ寝顔。
涙の跡に、そっと口付ける。
しょっぱいな・・
のっちは、わからなくなってきてるんだよ。
捕らえたつもりが、
囚われたのは、実は自分なのではないのだろうか・・・?
ま、そなんだけどさ・・・
でも、、、、
仕掛けたのは、ほんとはどっちからだった?
「おはよ」
甘い声が、あなたの目覚めを告げる。
「…おはよ」
「てか、、、なんでこんなに近いん?」
「あぁ、、、なんとなく、ゆかちゃんの寝顔見たくなって」
「ふふ、なに言ってんの」
そう言って、あなたはまた
曖昧に微笑んだ。
「それより、ゆかちゃん?…腕が、痺れて感覚ないんだけど?」
「あぁ・・・」
あぁ、、、って。
「ゆかも、じんじんしてるや」
二人して体を起こす。
「ね、、、はずして欲しい?」
「…いや、、、どっちでもいい」
「じゃ、もうしばらくこのまま、ね」
ねぇ、ゆかちゃん?
のっちはさ、もうとっくに
リアリティなんてもんがぶっ飛んじゃってんだよね。
二人して、洗面台に向かう。
てかさぁ・・・
「なんで、左手どうし縛ったの?」
おかげで、のっちは、ゆかちゃんの後ろにぴったり。
「んー・・・なんとなく?」
ゆかちゃんは、なんだか嬉しそう。
どうにかこうにか
顔を洗い、二人並んで歯を磨く。
朝食後に歯磨き派だったゆかちゃんも
今ではすっかり、起きてすぐ歯磨きするようになった。
口をゆすいで、リビングへ。
「・・・ご飯どうしよっか・・?」
「んー・・別に食べなくてもいいかな…
今日は、昼過ぎに入りでしょ?、、、なんか食べるものあるだろうし」
「だね・・・」
すとんと、ソファに腰掛ける。
その上に、腰掛けるゆかちゃん。
「これ、、たぶん、痕になってるだろうね」
「だね・・・」
「収録、大丈夫、、かな?」
「どうだろ?…」
「また、あ〜ちゃんに怒られちゃうね」
「うん・・・」
腕の痺れが、脳にまでまわって、
うまく思考回路が働かないあたしは、曖昧な返事をするだけ。
そんなのっちに、気付いてか
ゆかちゃんは
ふふっと笑い、二人を結び付けていたそれを解いた。
「はい、これで自由だよ」
このコトバに反応するように
ぎゅっと、彼女を抱きしめた。
自由?
なにそれ?
自由になんかなりたくない。
自由になんかさせたくない。
「どしたの、、、、のっち?」
腕の中のゆかちゃんの問いに
なにも答えられずに、ただただ
ぎゅっと抱きしめていた。
あぁ、、、ダメだ。
彼女を誰にも触れさせたくなくって
閉じ込めてしまいたくて
創った二人だけの世界。
これが望みだったのに
なんでこんなにセツナイのだろう?
望み通り、二人ぼっちのはずなのに
なんで取り残されたようなキモチになるの?
自分が創った世界。
自分が中心のはずじゃないの?
なのに、今
あたしたちは
世界の隅っこで蹲っている。
その重みで、世界が傾き始めている。
みしみし、、、みしみし、、、、、
遠くの方で、何かが
崩れて始める、、、、
そんな音が聞こえた気が、した。
ゆかちゃん、、、
ゆかちゃん、、、、
この世界が崩れてしまっても
一緒にいてくれる?
最終更新:2009年07月17日 23:59