アットウィキロゴ
沢山の仕事をさせてもらえるようになってもう2年ぐらい経つのに、
今でもこうして大勢の人間の前で笑顔を振り撒いている自分が信じられない時がある。


自分に何の魅力があるのか。
自分に何の自信があるのか。
元々人前に出ることが好きではなかった。
お兄ちゃんが入ったからという理由で、
一緒に入れさせられたアクターズスクールだって最初は乗り気じゃなかった。
なのになんで?




きっかけは、彼女だ。




決して良い出会いとは言えない、裏切り者同士の出会い。
普通なら仲が悪くなって当然なのに、気付けば私達は一番の親友同士になっていた。
それはきっと彼女の天性の才能のおかげ。彼女の人を引き付ける才能には誰も敵わない。
そして自分も、彼女に引き付けられた一人。彼女が居なかったら、今ここに私は居ない。
私の存在価値は全て彼女に付随してる。
それなのに、いや、それだから私は彼女の傍にいると凄まじい劣等感に襲われる。
一体私のどこが、彼女に敵うのだろう。




小さく溜息をつく。
自己内省が強いのは今に始まったわけじゃないけど、
仕事で忙しくなってからより一層強くなった気がする。


「ゆかちゃん、どうかした?」


ヘラヘラとした締まりのない顔で私を心配するのっち。
のっちも彼女に引き付けられた一人。


「別に何もせん…」
「えぇーうっそだぁ!何かあるっしょ!」
「何かあったとしても、のっちにはわからんよ。」


のっちの前では強がれるのに。


「のっち、ゆかちゃん。どうかしたん?」
「あ〜ちゃん!のっちがゆかのこといじめるの!!」
「えっ、ちょっとゆかちゃん嘘つかんでよ!あ〜ちゃん、これ嘘だから!」


彼女の前だと仮面を被る。




そう。
私は、あ〜ちゃんコンプレックス。









つづく





最終更新:2009年07月22日 21:57