どこ行ったんだろ、のっち。
そんなに遠くには行ってないと思うけど。
トイレかな?
トイレに行ってみると、一つだけドアが閉まっていた。
きっと、そこだ。
「のっちー?いるんでしょ?出ておいでー。」
「……。」
「大丈夫よ。誰にも言わんけぇ。」
「…ゆかちゃんにも?」
「うん。ゆかちゃんにも。」
ドアが、カチャっと開いてのっちが出てきた。目は少し赤い。きっと、泣いていたのだろう。
「部屋、戻ろ?」
優しく言って、手を握る。
「…!?待って!ゆかちゃんがおるけぇ、戻れんよ…。」
「それも、大丈夫よ。さっき起きて、用事あるって言って帰ったけぇ。」
そう言うと、ほっとため息をついた。
楽屋に戻り、のっちと2人きり。
「あ〜ちゃん、知っとったんよ。のっちがゆかちゃんのこと好きなの。」
「!!?」
かなりビックリした顔になるのっち。
そりゃあ、ビックリするよね。
のっちは隠してるつもりだったんだから。
「別に変なことなんかじゃないと思うんだ。」
「…え?」
「そりゃあ、世の中にはおかしいって言う人もいるけど…たまたま好きな人が女の子ってだけなんだよね。
…あ〜ちゃんはわかるよ、のっちの気持ち。」
「…。」
「だから、あ〜ちゃんはのっちに協力してあげたいな。」
そう言ってあげると、のっちはまた目に涙を少しためた。
「ありがとう。あ〜ちゃん…。」
「どういたしまして。」
「じゃあ、今日はよく寝て明日の仕事に遅刻せんようにね!ちゃんと、お風呂は入るんよ。」
「あ〜ちゃん…お母さんみたい…。」
「あ〜ちゃんは、まだピチピチの20才じゃ!」
「いや、お母さんじゃ。」
「そんなこと言うんだったたら、もう協力なんてしてあげんからね。」
「!?あ、あ〜ちゃんはピチピチのお姉さんでしたね。
ちょっと、コンタクトがずれてたみたいです...。」
「それなら、よし!じゃあ、また明日ね。」
「うん、バイバイ。」
なんて、じゃれあった後 のっちとバイバイした。
でも、あたしは家には帰らず
あるところへ向かった。
何もかもビックリした。
ゆかちゃんのことを好きなのを知っていたことも。
協力してあげるって言ってくれたことも。
嫌われるって思ってた。
こんな想いが誰かに知られたら。
あ〜ちゃんなんて、もってのほか…。
距離が近い人だからこそ…。
だから、涙が出るほど嬉しかった。
ゆかちゃんがのっちのことを受け止めてくれるかは分からないけど、頑張ってみようと思った。
今まで怖くて踏み出せなかった。
誰も理解してくれないって決めつけていた。
でも、あ〜ちゃんがわかってくれた。
今の、のっちにはそれだけで十分すぎるほどの力だよ。
「ありがとう…あ〜ちゃん…。」
家までの帰り道、もう一度あ〜ちゃんにお礼を言った。
だけど、気になることが一つ。
あ〜ちゃんは、のっちの気持ちがわかるって言っていた。
あ〜ちゃんも、のっちと同じ様に苦しい恋をしているんじゃないかって…思った。
でも、そんなことは布団に入って眠りについたら忘れてしまった。
最終更新:2009年07月22日 22:01