あたしは、そこに入れない。のっちとゆかちゃんの間に入れない。
そう思うと、ちょっと、心臓が痛かった
「あ~ちゃん、どうした?」
「別に」
のっちに思わずそっけない返事を返してしまった・・。
「あ~ちゃん?」
あたしの、心配なんか、しなくていいよ
「はは。のっちホンマに心配してくれとるん?冗談にきまっとるのに」
久々に、作り笑顔に自信が無い
昨日、バスケ部の試合で負けて、無理して笑うのっちにあたしは何も出来なかった。
その日の夜、公園でゆかちゃんに抱きしめられて泣いているのっちを見た。
敵わないと思った。どれだけ頑張っても、のっちの1番には、なれない。
のっちの1番がゆかちゃんだって事は、あたしはもう随分前から知ってた。ただ、あんな風に、見てしまうと、さすがにキツイ。
「もぅ、あ~ちゃん。からかわんでよ」
「のっちは単純じゃけぇねぇ~?」
「あ!馬鹿にした!?」
のっちが笑ってくれるだけで、幸せだ。それは今も昔も変わらない
けど、
「でもね、あ~ちゃんがホントに悩んでたら、のっちはいつでも力になるよ」
そんなあたしの気持ちに、気付いてくれなくて、いいよ
「う~ん、のっちじゃちょっと頼りないなぁ」
「あ、じゃあ、ゆかちゃんにも手伝ってもらうけぇ、安心して!」
ほら、名前を呼ぶ声が、違うじゃん
「そりゃあ、100人力じゃね」
「そうかなぁ?」
笑いを含んだ柔らかい声とともに、ゆかちゃんがやって来てあたしを後ろからフワッと抱き締めた
「ゆかちゃん遅かったねぇ!」
ほら、名前を呼ぶ声が、全然、違うじゃん・・・
帰り道、のっちとゆかちゃんとはここでお別れ。少しして振り返ると、遠くでのっちがなんかカクカクした動きで、ゆかちゃんの手を握ろうとしているのが見えた。
あたしはケータイを取り出して
“手ぐらい繋げ!このヘタレ!!”
送信完了とともに、走った。のっちが振り返る頃には、あたしは見えないだろう。
これでええんよ。
これで・・・
ちょっと、あたしは故障してるかもしれんね。「報われんでいい」なんて。「結ばれんでいい」なんて。
そう思うほど、ただただ愛しい。
次の日、朝、下駄箱で
「あ~ちゃん、あ~ちゃん」
のっちがこっそり話しかけてきて、ビシっと親指を立てた。きっと“うまくいった!”と言う意味。
やっぱりまだまだ苦しい。たぶん、これからもずっと苦しい。
のっち、あたしはのっちの1番にはなれんよ。
でも、あたしの1番は、たぶん、ずっと・・・・
おわり
最終更新:2008年10月10日 23:39