家に帰ると、玄関には
ゆかちゃんがちょこんと座って
あたしの帰りを待っていた。
そして、あたしの顔を見ると
すくっと立ち上がり
ぎゅっ
と抱きついてきた。
「どこ行ってたの?」
「バイトだよ。言ってなかったっけ?」
「…うん。」
「ごめんね。今度からは、ちゃんと言うね。」
これが毎日の日課。
ゆかちゃんは、あたしの帰りを玄関で待つ。
何十分でも、何時間でも。
その後は、抱きついてきて
どこ行ってたの?と聞いてくる。
付き合い始めは、こんなんじゃなかった。
ゆかちゃんも家にはこもってなかったし
あたしだって自由に出かけることが出来た。
おかしくなったのは、あの頃からだ。
あたしが友達と遊んでるところを
偶然、ゆかちゃんが見た。
友達と言っても女の子だし、やましいことも何もない。
だけど、ゆかちゃんにとっちゃ
あたしが他の誰かと笑って話してるのが許せなかったみたいだ。
その日のゆかちゃんは、荒れに荒れた。
家の中の物を投げ、そこら中にガラスの破片が飛び散る。
ゆかちゃんは、今までに見たことのない顔で泣き叫んでいた。
そして、その日から
ゆかちゃんはあたしの行動を監視するようになった。
だけど、こんなゆかちゃんさえ愛しいと思えてしまう
あたしの方がおかしかったのかもしれない。
あたしもゆかちゃんも、イかれてるのかも…
でも、恋ってそういうもんでしょ?
誰だっておかしくなる。
冷静なんかじゃいられなくなる。
だから、あたし達は何も間違ってはいない。
玄関での確認が終わると、ゆかちゃんはキスをねだってくる。
上目遣いで。
目をうるうるさせて。
だから、あたしはキスをする。
はじめは啄むような優しいのを。
その後は、深く激しいのを。
そして、ゆかちゃんは言う。
「あ〜ちゃん…抱いて…?」
あたしは返事の変わりに
おでこに チュ っとキスをおとす。
そして、ゆかちゃんをお姫さま抱っこで
寝室まで連れて行く。
ゆかちゃんは、あたしを独占したがる。
けど
本当はわかっていた。
友達といたところを見られた時から。
いや、もっと前から。
独り占めしたかったのは
ゆかちゃんではなく…
あたしの方だった。
その証拠に、ゆかちゃんを抱いている今だって…
明日は、どんな方法であたしに溺れさせてあげようか考えてる。
そうだ…
明日は、友達を家に呼ぼう。
どんな反応を返してくれるだろう。
どんな顔して、あたしを欲しがるだろう。
考えただけで物凄く興奮する…。
「ゆかちゃん…愛してるよ。」
疲れ果て眠ってしまった彼女に囁く。
明日は楽しみにしててね…
最終更新:2009年07月22日 22:18