《現在》
サイドN
なんで夢、見るんだろ?
不意に思い出しちゃうほうがまだましだ。
夢の中のあ〜ちゃんはひどく泣いてる。いつもそうだ。
もういいのに。あ〜ちゃん、のっちは許したんだよ。あ〜ちゃんは悪くないよ。全部のっちが悪いんだよ。
なのに、、なんで夢では正反対なんだろ。
あの時のこと、もう二度と思い出したくないのに。もう二度とあ〜ちゃんを責めたくはないのに。
強くなりたいって言ったよ。うん。確かに言った。
だけど強くなんかなれなかったし、皮肉なことに強くなれたとしても、その姿を見ていてほしいあ〜ちゃん、もう隣にいないじゃんか。
あ〜ちゃん、ごめんね。
神様がいるのなら、完璧じゃなくていいから、夢の中まで愛する人を責めてしまうのっちのこと、
現実の世界でも許せるくらいに強くして?
夢も現実も、あ〜ちゃんが泣いたら意味がないんだから。
《過去》
サイドN
『んでさぁ、結局こうなるんよ。』
はい。ごめんなさい。反省してます。いや、してもしても足りないくらいだけど。
のっちのベッドの上を一人で広々と使いながら、うつ伏せにひじだけついて、裸にシーツ。目の前のかしゆかは笑ってる。
同じベッドの上にいるのは辛すぎるから、すぐ側の床に腰をおろした。
悪いのは自分。そんなことわかってるんだけど。
ひんやりと冷たくなったフローリングが、熱をもった頭に“冷静”を運んでくる。
やっべぇ。とんでもないことしちゃった、、。
一人で考えて落ち込んでいると、ベッドの上のかしゆかが後ろから頭を撫でてくれるのがわかった。
のっちの髪の中に、いとも簡単にするすると入り込んでくるその器用な指先に、だめなのに、、だめなのに、、、
また自然と安らいでしまう。甘えてしまう。
なにやってんだのっち!今、猛烈に反省していたところだぞ?なにやってんだよのっち!
あぁ、でも、だめだ、、。この感触を一度味わってしまうと、、。
はぁぁ、、。洩れるため息にかしゆかは笑った。
『ふふっw耐えてる耐えてるw』
うん。耐えてるさ、そりゃ。そうするべきだし。
わかってるなら、もうやめてよゆかちゃん。いや、やっぱ、やめないでゆかちゃん。
後ろから腕が伸びてくる。さっきまで髪の中にいたそれも、二つになって肩を通りすぎてのっちの体の前でクロスしている。安心する。
かしゆかに後ろから抱きしめられると、何でこんなに安心するんだろ。
自分のこと認めてあげたくなるような。褒めてあげたくなるような。
違う。かしゆかが、そう言ってくれてるような。そんな気分になる。
あぁーだめだ、だめだ、、だめなのに、、、。
体は自然と吸い込まれるように向き合ってしまう。ベッドに上がってしまう。覆いかぶさってしまう。
『黙っててあげるって』
だめだ、だめだ、、だめなのに、、、。
下降するのっちの唇と上昇するかしゆかの唇が、空中でぶつかっては人身事故を引き起こす。
ダメージは最大。
立ち直るには、時間がかかる。
最終更新:2009年07月22日 22:33