Side N
誰かに触れられた感覚で、目が覚めた。
目を開けてあ〜ちゃんの方を見ると、なぜかあ〜ちゃんもあたしを見ていて。
視線が合うと、あ〜ちゃんが優しく笑ってくれて。
それが嬉しくてあたしも笑う。
「あ〜ちゃん、笑ってるw」
あたしがそう言うと、まるで気付いてなかったみたいに、あ〜ちゃんは自分の顔に触って確認した。
あたしの大好きな笑顔。だから。
「笑ってるあ〜ちゃん一番好きw」
そう言ったんだけど。
そしたら少し機嫌悪いみたいに、視線を逸らされた。
あちゃwまた失敗した?
「あの、もしかしてまた変な事言っちゃった?」
あ〜ちゃんは顔をふるふるっと横に振って答えてくれた。
「はぁ〜、なら良かったw」
ほっと一安心して、館内の時計を見ると…。
やべw本棚の整理が途中なんだ。早く終わらせないと。
「あ、あたし仕事戻るね?」
「うん。」
「あ。それと今日はゆかちゃんに、ちゃんとあ〜ちゃんを家まで送ってね。ってお願いされてるから、帰る時に声掛けてね?」
「ゆかちゃんに?」
「そうなの。ゆかちゃん、あ〜ちゃんのこと大切に思ってるからねw」
「…じゃあ、お願いします。」
ふふっと嬉しそうに笑うあ〜ちゃん。
なんか、ちょっとはまともに会話した気がする。
あの雨の中追いかけてった時以来?
Side A
もうwゆかちゃん心配性なんだからぁ。
一人でちゃんと帰れるのにな〜。
それとも、彼女と仲良くなって欲しいと思ってるのかなぁ?
そして、無事に課題を終らせて、帰りに彼女を探す。
居る場所くらい聞いておけば良かったかな?
人も疎らで、妙に広く感じる館内を歩く。
下には居ない、、と。
じゃあ、二階?そう思って手すりに手を掛けると。
「あw、やっぱりあ〜ちゃんだ。」
上からひょこっと顔を覗かせた彼女。
「ちょっと待ってて!すぐ行くから!」
彼女の行った方からバタバタと音がして、そのままバタバタと下りてくる彼女。
「ははwお待たせw」
「別に待ってないけど。」
「そ、そうだよね…。」
軽く肩を落とす彼女。なにか勘違いしてる?
「…すぐ来てくれたでしょ?何で分かったの?」
「ん?あぁ、ヒールの音がしたから。あ〜ちゃんいっつも可愛いの履いてるよねw」
へぇ〜、ちゃんとチェックしてるんだ。いつもぼーっとしてると思ってたけど、
さすが女の子だね。
「ありがとぅ。」
何だか嬉しい。
彼は、そういう所あんまり気付いてくれなかったから…。
あぁ…。また比べちゃってる。
比べたところで、どうなる訳でもないのにな…。
「あ〜ちゃん?」
ぼーっと床を見つめていたあたしの顔を覗きこんでくる彼女。
「…ぁ、ごめんなさい。なんでもないから。」
「…そう?じゃあ、帰ろっか?」
「ぅん。」
あたし達は図書館を後にした。
Side N
「ありがとぅ。」
そう言った後、あ〜ちゃんは焦点の合っていない目で、数メートル先の床を見つめていた。
何考えてるんだろう?
…ってそんなの、あの人に決まってるよね…。
まだ、好きなんだもんね?
外に出て、二人で歩く道。
会話はないけど、あ〜ちゃんと並んで歩けるってだけで幸せ。
それでも、気になるのは
「あの、聞きたいことがあるんだけど。」
「ん?」
「答えたくなかったら、それで良いから…。あの人のこと、まだ好きなんだよね?」
少し迷ったみたいだけど。
「…うん、好きよ?…でも、あんまり伝えてあげられなくて…。ちょっと失敗w」
えへへwって笑ったけど
ぎゅっと胸の辺りを握り締めたあ〜ちゃん。
「ちゃんと…好きだったのに…っ…。」
泣いてしまいそうな声で…あたしまで苦しくなった。
その姿を抱きしめたかった。でも、あ〜ちゃんが求めてるのはあたしじゃないんだ。
ゆかちゃんなら、すぐに抱きしめてるのかもしれないけど。
「あ、ごめんなさぃ。大本さんにこんなこと言っても困るだけなのにねw」
ふっと顔を上げたあ〜ちゃんは少し涙目だった。
「困んないよ。今のあ〜ちゃんの気持ち、ちゃんと知っておきたかったからさ。」
自分の居場所を知っておきたかったから。
だけど、まだまだ全然敵わないんだなって思った。
ねぇ、教えてよ。
あ〜ちゃんを想う気持ちは負けてない
でも
どうしたら
あなたに勝てるのかな?
そもそも
あなたに勝つ事なんて出来るのかな…
—つづく—
最終更新:2009年07月22日 23:08