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のっちがゆかのマネージャーになって、もう2年。
基本、時間にルーズ、適当。
最初の頃は、寝坊して迎えが遅れて、遅刻しそうになったことが何度もあった。
普通なら、即行、クビだよ、クビ。
でもそれでもね、うぅん、そんなのっちだから
ゆかには、必要だったんだ。


興味本位で手を伸ばした人だった。
けど、いつの間にか手放せない存在になっていた。


ゆかはすぐに不安定になる。それに、わがまま、、、に見えるらしい。
自分としては、ただちょっとばかりちょっかいを出すのが好きなだけ、なんだけど。

のっちは、ヘタレで、適当なくせして、ゆかの扱いがうまい。
それに、天邪鬼なゆかも、のっちになら、素直に甘えられる。


最近じゃ、周りのスタッフさんたちは、ゆかのことを褒めてはくれても
厳しい意見を言ってくれなくなった。
でものっちは違う。感じたままを伝えてくれる。


この前、リハーサル中にスタジオを飛び出した。
半分、無意識だったんだけど・・・気付いたら屋上で、なんだか戻りたくなくって、戻れなくて…
見上げると抜けるような青空なのに、ゆかのココロはちっとも晴れなくて。
ずっと遠くの方、ぽつんと一つ。大きな雲が浮かんでるのが視界に入って
「あ、こいつのせいか…」なんて。
だってさ、その雲は、ゆかのココロに引っかかってる、得体の知れない不安と重なったんだ。


「のっちぃ・・・」

いつからか、ゆかの中の得体の知れないもやもやが大きくなったときに呼ぶ名は、のっちになった。
いつからだろうか?・・・呼んでも応えてくれない人を呼ぶことに疲れてしまってから?
今となっては、わからないや。



ガチャ。扉の開く音。そして「…ゆか、ちゃん?」、のっちの声。
ゆかの呼びかけが聞こえていたような、絶妙なタイミングに驚いてると
「・・・ゆか?いるんでしょ?」って。

のっちが、“ゆか”って呼ぶのは、ほんとトクベツなとき。
そんなふうに呼ばれたら、さ。…まぁ、呼ばれなくても、さ。

一つ一つ、もやを吐き出すゆか。そのもやを、一つ一つ受け止めてくれるのっち。

触れる指先、手のひらは、いつだってあったかくて、やさしさに溢れている。

「ぎゅっとしてよ…」
一瞬戸惑ったものの、仕方ないなぁって顔して抱きしめてくれた。
のっちのくせして、仕方ないなぁって顔した。でもキライじゃないんだよね、その表情。うぅん、むしろ好き。
「大丈夫」そんなありきたりなコトバも、のっちの口から紡がれると、すっとココロの中に入ってくるんだ。


大好きだ。
この想いは、ウソじゃない。ウソじゃないんだよ。


だから、いなくならないでよ。ずっと傍におってよ。
もう、置いていかれるのはヤだよ・・・


「のっちは、ゆかちゃんが望む限り、傍におるから」


あの空の雲が、どっかに流れていったら。
このココロのもやが、どっかに流れていったら。
ちゃんと“かしゆか”に戻って、みんなのもとに戻るから。

だから、もう少し。あと少しだけでいいから
ゆかのままでいさせて。







最終更新:2009年08月01日 20:35