【山里くんの憂鬱】
~彼と彼女の空模様~
今回の話における一番の被害者は、
あ~ちゃんの一時の恋のお相手、山里くんだろう。
彼は放課後のグラウンドで一人、悲しみに暮れていた。
「何でだい、あ~ちゃん…」
その手には、お小遣いの大半をはたいて手に入れた、キーホルダーが握られている。
「これを手に入れたときはまだ良かったんだ…」
その数日後、突然あ~ちゃんに呼び出され、別れを告げられた。
──あなたといるときは、いつも曇り空なの
そして、キーホルダーをつき返された。
「当たり前じゃないか…梅雨なんだから…。ロンドンなんか毎日曇り空だよ…。
ハート型に繋いだてるてる坊主でも贈れば良かったのかい、あ~ちゃん」
「アホやなぁ」
「しずちゃん!」
「乙女心がなぁんにも分かっとらん」
「教えてよ!しずちゃん!」
「ほんまに、アホやなぁ…」
両手を羽ばたくようにひらひらさせて、しずちゃんは走る。
まるで人間界に迷い込んだ妖精のように。
「待ってよしずちゃーーーん!」
彼は気付かなかった。
二人の真上に、美しい夕焼け空が広がっていたことに。
≪END≫
最終更新:2008年10月11日 00:01