Side K
今日はどうしても外せない用で、あ〜ちゃんと図書館へ行けなかった。
ちょっと残念…。
しかたないから、過保護と言われるかもしれないけど、のっちに帰りのあ〜ちゃんをお願いした。
のっちは、なんだかんだでいざという時、頼りになるんだよね。
それに、最近のあ〜ちゃんを見ていると、のっちと二人でも大丈夫かな?って思ったから。
会話こそ無いけど、のっちから離れようとする感じはなくなった気がする。
ガチャ
玄関を開ける音が聞こえて。
「ただいま〜。」
「あ〜ちゃんお帰りぃ〜。一緒に行けなくて寂しかったよぅw」
私は、玄関まであ〜ちゃんを出迎えに行って、そのままあ〜ちゃんに抱きつく。
「もうwまたゆかちゃんはぁw」
「へへ。のっちちゃんと送ってくれた?」
あ〜ちゃんから離れて聞く。
「うん。送ってくれたよ?」
やっぱり大丈夫だ。ちゃんと笑ってる。
「そっか、良かった良かった。ん、そだ!ちょっと早く帰ってきたから、今日は私がご飯するね?」
「え?ホントに?」
「うんうんw準備もしてあるから、すぐ出来るよ?」
「ふへwゆかちゃんの料理楽しみ〜。」
「あ〜ちゃんに比べたら、私のなんてただの食べ物だよw」
「何言ってるのよ〜。あたしゆかちゃんの料理好きだよ?」
またそんな嬉しい事いってくれちゃって、もう。
なんやかんや言いながら、結局あ〜ちゃんも少し手伝ってくれて、思ったより早くできた。
てなわけで、二人でいただきますをして食べる。
「ゆかちゃんのハンバーグ美味しいw」
すごく幸せそうに食べてくれるあ〜ちゃん。
うん。やっぱこれだよね。料理の醍醐味って。
「ホント?良かったぁ〜。」
美味しいって言って食べてくれる人が居るのが一番嬉しい。
「ね。そういえば今日はのっち何もしなかった?」
「あぁ…、それが聞いてよゆかちゃ〜んw」
「ん?」
嫌がって話さないかと思いきや、
「大本さんてば、あたしが課題してるまん前で寝ちゃうんだよ?酷いと思わない?」
あ〜ちゃんからのっちの話題を聞くなんて、珍しい。
「えw。それ腹立つぅwしかも相変わらずどうどうとサボりでしょ?」
「うんwそうそう。」
「まったく、ダメだねぇ。」
「でも、寝顔がキレイで見とれちゃったぁ。」
「まぁねぇ、それは確かだわ。」
「それから、帰りに…。」
〜♪〜♪
あ〜ちゃんが言いかけると、あたしの携帯が鳴り出した。
もー、誰よぉ?あ〜ちゃんとまったりしてる時にぃ。
名前を確認して、あ〜ちゃんの話が気になる私としては少し迷う。
「ゆかちゃん、出ないの?」
「え、あぁ、うん。ちょっとごめんね?」
でも、珍しい相手だけに、電話に出ることにした。
「もしもし?…うん。今?…ん、分かった。行くからちょっと待ってて?」
「どっか行くの?」
「うん、ちょっとそこの公園まで。なんか友達が子犬見つけたみたいでさ〜。牛乳持ってきてだってw」
「牛乳?それならビンのがあるからソレ持って行くといいよ。」
「ホント?分かった。そんな時間掛かんないと思うけど、時間掛かったら、私のそのままにしておいてくれる?」
「うん、分かった。気をつけてね?」
「ありがとw行ってきまぁす。」
私は、冷蔵庫から牛乳を取り出して出掛ける。
あ〜ちゃんごめんね?ちょっとだけ、ウソついちゃった。
あ〜ちゃんの話は気になるけど、珍しく情けない声してたから…。
子犬じゃなくて…まぁ、ある意味、子犬だけど…。
公園まで行くと、街頭の下のベンチにもたれている人物。
さっきの電話の相手。
のっちがいた。
「来たよ〜。」
「急にごめん。」
「あ〜ちゃん送ってから、ずっと居たの?」
黙って頷くのっち。
「ふ〜ん、そっか。」
そう言いながらのっちの隣に座る。
あ、そうだ。
「はい。コレ。」
「??何で牛乳?」
まぁ、当然のことながら頭にはてながいっぱいなのっち。
「友達が子犬見つけたって言って出てきたからw」
「ははwなるほどw」
笑いながら牛乳を受け取ってくれた。
「で?どうしたの?」
「あぁ、その、あ〜ちゃん送る時にね…。」
あれ?のっちも?
そう思ったけど、黙ったまま続きを聞く。
「あの人のこと、まだ好きだよね?って聞いたんだ。」
なるほど、あ〜ちゃんが言いかけたのもそれだな?
「また、野暮なこと聞いたんだね。」
「うんwちゃんとあ〜ちゃんから聞いてなかったし、あの人との距離も知っておきたかったから。」
「そんなの、埋るわけないでしょ?」
「ぅん。聞いてちょっと後悔した…。だって、あんな泣きそうな顔で『好き』なんて言われたら…、敵わないなぁ〜って…。」
あ〜あ、って天を仰ぐのっち。
「あの人はあ〜ちゃんの中でまだ生きてるんだな〜って。」
「何?もうギブアップ?」
「…したくはないよ。一年以上は覚悟してるんだけどね?」
それじゃあダメだよのっち。あの人と同じじゃダメ。
急げとは言わないけど…。
「ねぇのっち。」
「ん〜?」
私の方を向かずに返事をしたのっちの顔を、少し強引にこっちに向かせて顔を近づける。
「な、なに?」
焦りだすのっち。そんなに怯えなくても良いよw
「あのね?のっち。」
のっちの瞳をとらえる。
「今いない人をライバルにしたら、一生勝てないよ?」
思い出って美化されていくものだから。
驚いたみたいに、目を大きく開いたのっち。
「のっちはあの人に勝つために、あ〜ちゃんに声掛けたの?」
私が言えるのはこれだけ。
のっちは何度か瞬きをした後、いつもの締まりのない笑顔になった。
「へへwゆかちゃん、ありがとうw」
「なに、その緩い顔…。」
「デヘヘwゆかちゃんのお陰で、大切な事思い出したから。」
「あっそ?じゃぁ、私帰るよ?」
「うん!あ、牛乳もありがとうw」
のっち?私も一緒に。
あ〜ちゃんの光が見たいんだよ?
Side N
ゆかちゃんの問いかけで、考えすぎて見えなくなっていたものが見えるようになった。
「今いない人をライバルにしたら、一生勝てないよ?」
そりゃそうだよね?忘れる事なんてないし、忘れて欲しくもないし。
あなたは、あ〜ちゃんの中でずっと生き続けるんだから。敵うはずない。
だったら、あたしはあたしであ〜ちゃんを振り向かせる。
似てようがなんだろうが、これがあたしなんだから。
そしてもう一つ。
「のっちはあの人に勝つために、あ〜ちゃんに声掛けたの?」
そうだった。一番大切なこと忘れるトコだったよw
あたしは、あ〜ちゃんの光が見たくて声を掛けたんだ。
あの眩しい笑顔を、取り戻したくて。
あなたに勝つためじゃないんだ。
あ。でもやっぱ、何気にゆかちゃん強敵じゃない?
—つづく—
最終更新:2009年08月01日 21:18