アットウィキロゴ
A



のっちは少しずつ前の明るさを取り戻した。
そして、私達の距離も縮まっていく。
あとは私がいつ気持ちを伝えるか。
ただ、伝えるようと思うと突然臆病になってしまう。
のっちは勇気を出して変わっていったのに。私はまだ勇気を出せずにいた。



のっちが働き始めたあとも、私もゆかちゃんもライブハウスに通っていた。
そして、今日もゆかちゃんと二人でライブを見る。
すると、ゆかちゃんが
「あ…ごめん、あ〜ちゃん。お母さんに早く帰ってこいって言われちゃった…。」
「ほんと?じゃ、帰ろうか。」
「いいよ!ゆか一人で帰るからさ!あ〜ちゃんはライブ見ていきな!」
「んー…わかった。じゃ、気を付けて帰ってね。」
「うん。ごめんね!じゃぁね!」
あ〜ちゃんもゆかちゃんもなんだかんだで親厳しいからね…。
あ〜ちゃんも終電前には帰らないと…。



ライブを見ながら、バーテンをしているのっちと話しているとあっと言う間に終電の時間に。
「のっち、ごめん!終電だから帰るね!」
「うん、わかった。気を付けて帰ってね!」
「うん、ばいばい!」
「じゃあねぇ。」
急いで駅に向かって財布を取り出すと…って、ありえない…。
カバン、ライブハウスに忘れてきた…。確か、バーカウンターに置きっぱなしだ…。
タイミング悪すぎ!終電乗れないじゃん!
ライブハウスに向かうと…誰かにつけられてる…。
恐くなって、走ると腕を掴まれた。
「ねぇ、君一人?今から遊びに行かない?」
知らないチャラそうな男が数人。逃げようとしても逃げられない。
「離してください…!」
「そう言わずにさ!暇なんでしょ!?俺らと遊ぼうよ!」
知らない人に囲まれて、逃げられなくて…恐いよ。誰か、のっち助けて…!




「何やってんですか?」
「あぁ?何?なんかよう?」
のっちだった。
「その子、離してください。」
そう言って私の手を取りその場を去ろうとすると、
「おい、待てよ。今からその子と遊びに行くからさ。…あ!なんだ君も可愛いじゃん!一緒に遊ぼうよ!」
「遊びません。」
「まぁ、そう言うなって。」
「その子に触るな!」
私の肩に触れようとした、男の人の手をのっちがはらった。
「なんだ、お前。さっきから態度わりぃなぁ。」
そう言うとのっちの胸ぐらを掴んだ。
「そんな、態度だとお前モテねぇぞ。」
「あなたに関係ないです。」
「お前、まじむかつくな。」
そんな会話をしていたのっちと男の人たちは今にも喧嘩しそうな空気。
どうにかして助けを呼ばなきゃと思っていたら、鈍い音がした…。のっちが男の人に打たれていた。
「のっち!大丈夫!?」
「…平気。」
今までに見たことないのっち…。恐かった…。
男の人も怒鳴り声を上げている…。
どうしよう…。
「こら!君達何やってるんだ!」
「やべっ!警察だ、行くぞ!」
たまたま、通りかかった警察が男の人たちを追いかけてった。
まだ、恐くて足が震えてる…。
のっちは路上に座り込んで俯いていた。のっちの側には私のカバンがあった。私の事追いかけてきてくれたんだ…。
「のっち、ごめん。私のせいで…。」
私がいけないんだ…。私のせいで…。
「いや、あ〜ちゃんのせいじゃないよ。」
「でも、私が…!」
「あ〜ちゃんのせいじゃない!」
「…のっち。」
「あいつらが悪いんだ。…それに…。」
「…。」
「それに…。君のためなら…君のためなら、こんくらい…。」
そう言ってのっちは私を抱き締めた。
「あ〜ちゃん…無事でよかった…。」
…のっち。
私はのっちの腕の中で泣いた。のっちはもう大丈夫だよと言いながら頭を撫でてくれた。
その後、終電のなくなった私を家に泊めてくれた。
家に着いても泣いてる私をのっちはずっと抱き締めていてくれた。
初めて見るのっちに恐怖を覚えたけど、でも、のっちは君のためならと言ってた。
それは私を思ってなの?
ねぇ、のっち。私のせいでのっちが傷付くところなんて見たくないんだよ。
でもね。…でも、君のためならって言ってくれたこと、嬉しかったんだ。



つづく





最終更新:2009年08月01日 21:28