side.N
隣でうとうとしてるゆかちゃんの綺麗な髪を撫でる。
今にも眠ってしまいそうだね。
あたしは今でも、よくあ〜ちゃんの事を思い出す。
出会った日の事だって、昨日の事の様に思い出せるんだ。
小学六年の最初の頃。
フラワーフィスティバル。
青いシャドー御揃いで三人、PerfumeはちょこっとLOVE歌ってた。
あの頃から、キラキラしてて、あたしにとっては既にアイドルだったんだよ。
あ、そういやゆかちゃんもその隣にいたのか。
ごめんのっち今忘れてた。でも今はあ〜ちゃんを思い出してるから、許してね。
もう一度、ゆっくりと小さな頭を撫でた。
あたしを仲間に入れてくれてからは、夢の様な日々だったよ。
毎日が輝いて、色んな知らなかった世界を見せてくれた。
ゆかちゃんとのきっかけだって、今思えばあ〜ちゃんだったんだ。
感謝したってしたりないよ。あ〜ちゃん良くありがとう以上の言葉があれば良いのにって言ってたけど、のっちも今そう思った。
「あ〜ちゃんの事考えとるじゃろ」
「あれ、起きた?」
「寝とらんもん。寝そうだったけど」
「そっか」
「のっちの手、気持ちいいから」
「うん。ゆかちゃんの頭も気持ちいいよ」
「で、何思い出しとったん?」
「昔のこと。てか良く分かったね」
「のっちはあ〜ちゃんの事考えとる時、いつも同じ顔するから」
「へ〜」
「ま、ゆっくりしとったら。ゆか、ご飯作るね」
そう言ったゆかちゃんはベッドから起き出して、シャツを一枚着てからエプロンをつけた。
どうせなら裸エプロン見たかったな。
のっちまだ全裸だし。
「服着んと風邪ひくよ〜」
台所からゆかちゃんの声。
あたしの心の声が聞こえてるんだろうか。
何から何までゆかちゃんにはお見通しみたいだ。
ねぇあ〜ちゃん。
そりゃ、当たり前なんだけどさ。
あの頃は、あ〜ちゃんといつか離ればなれになるなんて、思ってもいなかったんだ。
一緒にいるのが当然過ぎて、三人でいるのが、自然過ぎて。
でもね、寂しくはないよ。
あたしにはゆかちゃんがいるし、あ〜ちゃんとは幸せな時間をこれでもか、ってくらい過ごしたから。
キラキラした笑顔だって、頭に焼き付いてるからはっきり思い出せる。
なにも見ずにあ〜ちゃんの似顔絵を描けって勝負なら、きっとのっちは誰にも負けないよ。
あ、でもダメか……
あたし絵心ないんだった。
今頃はどうしてるかな。
一人目の時は連絡くれたけど、あ〜ちゃんの事だから、もうポンポンと子供の二人や三人産んで、元気で優しいお母さんやってるかな。
想像つくなぁ。
ちっちゃいのに囲まれて『ホンマにかわいい子達じゃね〜』って。そんであのキラキラの笑顔でさ。
夜は大きなお鍋で肉じゃがを沢山作るの。
旦那さんと子供等でぜ〜んぶ食べちゃって。
『あんなに苦労して作ったんに、もう無いん?』ってさ。でも顔は笑ってて。
おいしい! って喜ばれて、また嬉しくなって。
想像つくなぁ。ホント、簡単に光景が浮かぶよ。
料理ってさ、作ったものおいしそうに全部食べてくれるのが、一番嬉しいよね。
また作ろうって、思えるもんね。
なんかのっちもお腹減ってきたよ。
あたしはベッドの脇に置いてあった、食べかけのポッキーをつまんだ。
さっきゆかちゃんとする前に、ゆかちゃんが食べてたやつ。
できるならさ、一度三人で会いたいね。
昔みたいにさ、きっとくだらない話でいつまでだって笑ってられるよ。
だってさ、此処にいなくたって、あ〜ちゃんは笑顔をくれてるし。
「のっち〜。ご飯できたよ〜」
部屋中が良い匂いに包まれた頃、ゆかちゃんに呼ばれた。
あたしはやっと一枚シャツを着て、ダイニングテーブルに向かう。
「今日はなに作ってくれたん?」
「肉じゃが。ちっと作り過ぎちった」
舌を出してお鍋を見せるゆかちゃん。
しまったな。お菓子なんか食うんじゃなかった。
「食い切れっかな……」
「ん〜? なんか言った?」
「ううん。なんも言ってないよ。いただきます」
あたしは肉じゃがをメインに攻める。
「どお?」
「めちゃくちゃおいしいよ!」
「ほんと? 良かったぁ」
ほら、嬉しそう。
あたしだって、作ったものはおいしそうに食べて欲しいもん。
まぁゆかちゃんはいつもおいしそうに食べてくれるし、のっち作るのカレーだけだけど文句も言わんけど。
「ごちそうさま!」
「のっちっていつもきれ〜に全部平らげるよね」
「いや、おいしいからさ」
「ふふ、ありがと」
気合いの完食。
これはあ〜ちゃんがいたら褒めてもらえるね。
ゆかちゃんと並んで、お皿を洗う。
口遊むのは、Perfume。お皿洗いver。
ゆかちゃんが適当な歌詞で楽しそうに歌う。
洗剤つけるの〜、とか。
頑固な〜汚れっだっからね〜、とか。
お皿洗いを終え、二人並んでソファに腰を掛けてテレビを見ていると、あたし達が映った。
2009年懐かしのランキングだって。
「ひゃ〜、若いねぇ」
「うん。ゆかちゃんかわいい」
あ〜ちゃん? 今うちらがテレビに映ったけど、あ〜ちゃんも見てた?
懐かしいね。あたし達が、一番一緒にいた頃だね。
嬉しかったな。
もういい時間だから、子供達寝かしつけちゃったかな。
それとも『これ、ママなんよ』って、子供達に自慢でもしてるかな。
もしそうなら、あたし達のことも紹介しといてくれるともっと嬉しいんだけど。
「ねぇのっち?」
「ん?」
「なんか今日は幸せな気分だから、ゆかもう一回したくなっちゃった」
幸せな気分ね。
のっちも一緒だ。
それにしても、ゆかちゃんはいつまで経ってもヤバいね。のっちの理性はいつだって簡単に全部持っていかれるよ。
「よろこんで」
ゆかちゃんを抱えて、ベッドまで移動する。
今日はきっと、飛びっきり甘くて幸せな夢を見れる気がするよ。
ねぇあ〜ちゃん?
あたし達は凄く幸せです。
きっとあ〜ちゃんもそうなんだろうなってあたしは思うから、あ〜ちゃんもあたし達は幸せなんだろうなって、思ってくれてるんだろうね。
それで、あたし達の事考えて、ちょっと笑ったりしてくれてたらいいな。
きっとあたし達三人は、いつまでもずっと繋がってるんだろうね。
絶対、忘れたりしないよ。
「のっちぃ。はやくぅ!」
「はいはい」
繋げたのは、あ〜ちゃんだよ? ありがとう。
じゃあね、おやすみ。
〜pege2 end〜
最終更新:2009年08月01日 21:44