Side A
あれから、ちゃんと言わなきゃって、何度か二人に言いかけたけど、まだ言えてない。
もしかしたら、二人が知らなくても良いコトなんじゃない?
二人が知ることで、二人の関係が崩れたら嫌だ。そんなことを考えてしまったから。
もう、本当にどうしたら良いのか分からない。
そんなある日。
急にゆかちゃんが「久しぶりに三人でお泊りしよ?」って言ってきた。
のっちもそれに賛成して、でもあたしは少し迷う。
二人と一緒で大丈夫なの?
ちゃんと普通にしていられる?
そんなあたしに
「最近、三人だけってあんまりなかったじゃろ?」
そう言って、あたしを説得してくるゆかちゃん。
「うん、そうだね?」
努めて笑顔で返事する。
「ヨシッ!決まり!」
ゆかちゃんは嬉しそうにガッツポーズをとって、のっちとハイタッチまでしてる。
二人ともそんなに嬉しいの?
そう思ったら、あたしもなんだか楽しみに思えてきた。
そして、買出しして、のっちの家に着いて…。
今日はのっち特性カレーを作ってくれるようで、一人キッチンへ。
あたしとゆかちゃんはリビングで、なんてことない会話をしていた。
だけど…。
ゆかちゃんがソファーに座るあたしの隣に座ってきて、名前を呼ばれたと思ったら。
突然のキス。
なに?
あたしが反応できないでいると、そのままキスを深くしようとするゆかちゃん。
慌ててゆかちゃんを引き離す。
「ゆかちゃん、ココのっちの部屋よ?」
「平気じゃよ。のっちまだ来ないし。それに…」
「スリルあるでしょ?」
耳元で囁かれて、思わず反応する。
「ん、ゃ…。」
「嫌なんて言わせんよ?一番最初に誘ったのはあ〜ちゃんなんだから。」
あたしはそれに何も返せなくて。
なんだかいつもと違う、強引なゆかちゃんに押し倒されて、ニッコリ笑うゆかちゃん。
「今日は私がしてあげるよ。」
そう言って、またあたしへキスしてくる。
…。
なんで?
ココのっちの部屋なんだよ?
のっちに見つかっちゃっても良いの?
もう、のっちの事…
好きじゃなくなったの?
そんなのヤダよ…。
でも、その指輪は?
それをしてるってコトは、まだ好きなんよね?
あたしが、そんなことを考えている間にも、ゆかちゃんのキスは深くなってくる。
拒まなきゃいけないのに、その力が出ない。
どうしたら良いのか分かんないよ…。
しかも、そこに聞こえてきた声がさらにあたしを後悔へと追いやる。
「ゆか、、ちゃん?」
それと同時にゆかちゃんの唇が離れて、ハッとして声がした方を見ると…。
のっちがお皿を持ってゆかちゃんを見ていた。
「何してるん?」
「何って、キスじゃけど?」
サラッとそう言うゆかちゃんは、見つかってしまったことを気にも留めていない。
あたしは慌てて体を起こして
「っ、のっち!違うんよ!ゆかちゃんは何も悪くないんよ!」
あたしの声に、こっちへ顔を向けるのっち。
のっちは何も言ってくれない。
酷いよね?
のっちとあんなことして、ゆかちゃんともして…。
「悪いのは…全部…あたし、だから…。」
二人のこと裏切って…。
最低だね…。
「悪いのは、あ〜ちゃんなの?」
のっちの少し低い声が耳に響く。
あたしが頷くと、持っていたお皿を置いて、あたしの前にやってくる。
「それじゃあ、ちゃんと罰は受けてもらわんと…。」
…もう覚悟は、出来てる。
あたしを見下ろすのっちの表情が、一瞬、笑った気がした…。
やっぱり、遅かった…。
堕ちたものは、もう、戻れない…。
—つづく—
最終更新:2009年08月01日 21:51