Side A
『…罰は受けてもらわんと…。』
そう言った後の、のっちの行動に、あたしはさらに訳が分からなくなった。
のっちは見上げるあたしに合わせるように屈んできて。
ゆかちゃんの目の前で。
あたしにキスしてきた…。
…のっちまで?
ねぇ、どうして?
のっちも、もう好きじゃなくなったの?
二人とも…。
あたし…っ。
ごめんなさいっ。
Side N
ゆかちゃんが、あ〜ちゃんにキスしてた。
だから、あたしもしたくなって
自分が悪い。って言うあ〜ちゃんに託けて
「罰は受けてもらわんと。」
そう言ってあ〜ちゃんにキスした。
ところが…。
「あ〜ちゃん?」
ゆかちゃんの声に、キスを止めてあ〜ちゃんを見ると。
あ〜ちゃんは泣いていた。
え?
「あ〜あ〜。のっちがあ〜ちゃん泣かしよったぁ。」
「わっwご、ごめん!あ〜ちゃん、キス嫌だった?」
「ぅぃ…、ちが…。のっち、ゆか、ちゃんことぉ、好きく、なくなったん?」
ぼろぼろ涙を流しながら聞いてくるあ〜ちゃん。
「え、そんなん好きに決まっとるじゃろ?」
「ゆか、ちゃんは?のっち、のこと…。」
「ちゃんと好きよ?」
「ぅw、じゃ、何で、目の前でキス、するん?」
もしかして、あたしたちが好き同士じゃなくなったと思わせちゃったのかな?
「そりゃぁ、ねぇ?ゆかちゃん。」
「ふふw」
「「あ〜ちゃんこと好きじゃけぇw」」
「ふぇ?」
まるであたしみたいに、眉をハの字にして固まるあ〜ちゃん。
あのね?あ〜ちゃん。
実は、あ〜ちゃんとのこと、怒られる覚悟でゆかちゃんに話したんよ。
そしたら、ゆかちゃんもあ〜ちゃんと…って聞いて。
最初はビックリしたけど。ホッとしたんよ。
あ〜ちゃんもゆかちゃんのこと好きなんだって。嬉しくなったんよ。
だってさ…。
「あ〜ちゃん、コレ。」
あたしは指輪を外して、あ〜ちゃんの前に差し出す。
ゆかちゃんも同じように指輪を差し出す。
あ〜ちゃんは、まだ鼻をグスグスさせながら、両手を出してくる。
そこへ、二人の指輪を置いた。
Side A
二人から指輪を受け取ると
「指輪の内側、見てみて?」
ニコニコそう言ってくるのっち。
…そんなの、見なくても書いてある事くらい分かる…。
二人がそれぞれに贈ったんだから…。
なのに、そこに刻まれていた文字は。
『N to A』
『K to A』
…なにこれ。
なんで二人の指輪に『A』の文字?
あたしはその意味を聞こうと二人を見るけど、泣いているせいでうまく言葉に出来ない。
でも、ちゃんと言いたい事に気づいてくれて。
「私とのっち、お互いに好きで付き合っとるけど。この指輪にはね?私たちの、あ〜ちゃんへの想いが込められてるんよ。」
「なん、で?」
だって、この指輪、あたしが二人とする前からしてたでしょ?
「あのね?私たち、ずっと前から…。」
そう言って二人はまた、顔を見合わせて笑う。
ゆかちゃんが右頬に触れる。
「私は、あ〜ちゃんとのっちが好きなの。」
のっちが左頬に触れる。
「あたしは、あ〜ちゃんとゆかちゃんが好き。」
「ってことなんよw」
「でも、あ〜ちゃんきっと、女の子同士とか、二人と…とか無理だろうな〜って思って。」
「そうなんよ。じゃけぇ、のっちと勝手に二人であ〜ちゃん守っていこう!って決めて。あ〜ちゃんには手を出さないって、約束してたんよ。」
「指輪はあ〜ちゃんの事好きって、お互いに打ち明けてから。その約束を忘れないようにって、してたんだよ?」
二人が優しく微笑みかけてくれて、涙を拭ってくれて。
分け分かんないくらい嬉しくて…。
また涙が溢れてくる。
Side K
「でも、あたし、二人に…ひどぃ、こと…。」
「あ〜ちゃんw大丈夫よぅ、泣かんでも良いけぇ。うちら嬉しいんよ?あ〜ちゃんが好きって言ってくれて。」
そう言っても、あ〜ちゃんの涙は止まりそうにない。
「本当は、あ〜ちゃんも辛かったんじゃろ?」
だから最近、戸惑うように触れてきてたんでしょ?でも止められなくて…。
あ〜ちゃんの頭を撫でると、あ〜ちゃんはあたしに泣きついてきた。
のっちの「あ。」って声が聞こえた気がしたけど、今は我慢しんさい。
「あたしも、二人、好きじゃけぇ。でも、後悔しても、遅くてぇ。…ぅ、ごめん、なさぃ。」
「もう、大丈夫じゃけぇ。…あ〜ちゃん?私の指輪かして?」
ゆるゆると体を離して、指輪を握り締めていた掌を広げるあ〜ちゃん。
そこから、さっき渡した指輪をとって、あ〜ちゃんの左手の薬指に嵌める。
「ずっと、好きだよ?」
「ぅ…あたしも、好きっ。」
へへw嬉しくてまた抱きしめて、あ〜ちゃん可愛いなぁと思ってたら。
グイッとあ〜ちゃんが引き剥がされて。
「ゆかちゃんばっかズルイ…。」
のっちに抱き寄せられるあ〜ちゃん。
「あ〜ちゃん。あたしにも指輪。」
あ〜ちゃんを後ろから抱きしめた状態から指輪を受け取って、私が嵌めたところと同じところに指輪を嵌める。
「あたしも、ずっと好きなんよ?」
「ん…のっちも好き。」
安心したみたいにのっちにおっ掛かっているあ〜ちゃん。
二つの指輪が光るあ〜ちゃんの手をとり、指輪に口付ける。
「ずっと三人でいようね?」
私がそう言うと、ふにゃっと笑って答えてくれた。
Side A
「ずっと三人でいようね?」
ゆかちゃんがそう言ってくれた。
きっとあたし達は、どちらかを選ぶ事なんてできないんだ。
それぞれが他の二人が居ないとダメなんだ。
誰か一人が欠けたらきっと。
自分の体の一部が無くなってしまうような痛みを、感じるんだと思う。
「何処にだって付いていくよ。ね?のっち?」
「うん、もちろん!」
「…ありがとう。」
二人が居てくれたら
あたしは何処までだって堕ちて構わない…
そう、どこまでだって…
<堕天使>fin
最終更新:2009年08月01日 22:17