1限の数学の時間、数字なんて頭に一つも入ってこない。寝起きの頭には辛いってのもあるけど、そんなことじゃなくて。
さっきの一瞬のあ〜ちゃんの表情がのっちの頭ん中を占領して数字の入る余地無し状態なんだ。もうすぐ1限が終わる。ただそれだけなのに、自己紹介の時くらい心臓が早く動いた。
授業終了のチャイムが鳴る。
あ〜ちゃんが振り向く。
またスローモーションに見える。
「おはよー。寝坊したの?」
「あ、うん。そうです」
「先生あんな大きい声出さんくてもいいのにねー。びっくりしちゃった」
「あ、うん本当そうだよね。のっちもビビった」
やばい
のっち今、あ〜ちゃんと話してる。話してるよ。ゆかちゃんどうしよ!
「ねぇ大本さん」
「な、何?」
「嫌かもしんないけど……のっちって呼んでもいい?」
「えっ」
「あ、嫌ならいいけえ」
「やじゃないやじゃない!全然…はい、嫌じゃないです」
「本当?」
「うん!てか、あの、のっちも…あ〜ちゃんって呼んでいい?」
陰ではこそこそ呼んでるけどね。一応ね?
「うんいいよ。ふふっ嬉しい」
くしゃって笑った顔が異常にかわいくて、また一瞬にして頭を占領する。
さっきの上目使い微笑みあ〜ちゃんと、今のくしゃくしゃ笑顔あ〜ちゃんとがのっちの頭ん中で喧嘩してる。
いや、融合してすごいことになってる。
「こうやってちゃんと話しするの…初めてだね」
「ずっと話してみたいと思ってたんよ、あ〜ちゃん」
「…のっち?」
「あ……のっちも、です」
「本当〜?」
「本当です、うん」
絶対顔真っ赤だ。
「ふふ、さっきから敬語なってるよ」
またくしゃって笑って…ダメだ。もう限界です。
「ちょちょっとトイレ行ってくるね」
急いで駆け込んで、とりあえず顔に冷たい水をバシャバシャかける。顔が熱い顔が熱い顔が
「のっち」
「うわああ!」
急に耳元で声がして思わず大声をあげてしまった
「びっくりしすぎ」
そこには見たことないくらいニヤけたゆかちゃんが立ってた
「見てたよー。ふふ、はいハンカチ貸したげる」
「ゆかちゃん…のっちダメかもしんない」
「…とりあえず顔拭こうね?」
ゆかちゃんのハンカチはいい匂いがして、なんだか余計にドキドキした
つづく
最終更新:2009年08月01日 22:25