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あたしは、仰向けになっているあ~ちゃんの顔の横に両手をついて、
目をつぶって、大きく息を吸った。
落ち着け、落ち着くんだ。

でも、あたしの口からついて出たのは
「あ~ちゃん、しっ、しても…いい…かなっ?」
とかいうananならロマンチックの欠片もない最低男!と評されそうな台詞だった。

「のっち…ちょーかっこ悪…」
あ~ちゃんは両手を広げて、ちょーかっこ悪いあたしごとふわりと包み込んでしまう。

照明を落とした静かな部屋は、寒くて暗い海の底に二人で沈んでしまったみたいなのに。
それなのにあたし達は楽しくておかしくてたまらなかった。

「のっちの匂い。」
あ~ちゃんはあたしの髪に顔をうずめて、クスクス笑った。
「今日はシャンプーもボディソープも同じじゃん、あ~ちゃんだって同」
髪の匂いを嗅ぐふりをして、あ~ちゃんの耳を軽く噛んだ。
「…にゃっ!」
「作戦成こー…」

こっちを向いたあ~ちゃんは何故だか泣きそうな顔をしていた。



あたしはやっぱり最低だ。
あ~ちゃんをもっと泣かせたくなった。

「ん…。」

吐息はピンク色の泡になって、二人の身体を包んで暗い海の底から海面へ昇っていく。
苦しいよ。全然酸素が足りない。あたしは口移しであ~ちゃんに何度も酸素をもらう。

ねえ、あ~ちゃん、絶対にあたしの手を離さないで。


「のっち。」
「のっち。」
「のっち。」
「のっち。」

激しい波に流されてしまわないように、あたしに必死でしがみつくあ~ちゃんの目からは、
涙がどんどんどんどん溢れては流れていった。
このまま涙で溺れて永遠に海面なんかたどりつかないんじゃないかって思ったのに。

「───ぁ。」

キラキラ輝く水面が、みえた。

「…はー!」
毛布の海面から顔を出したあたしたちは、抱き合いながらおもいっきり深呼吸する。
あたしは、涙でぐしょぐしょの顔を猫みたいに無言で擦り付けてきたあ~ちゃんの頭を撫でながら、
「のっちは、あ~ちゃんがだいすきだよ」と言った。
うとうとしかけていたあ~ちゃんは、何かを言おうとしたように見えたけど、
目をつぶって静かな寝息をたてはじめた。


6年前、海の底に沈んでいたあたしの手をとって、海賊船に乗せてくれたあ~ちゃん。
3人でいろんな宝物をたくさん見つけたけど、あたしが見つけた最高の宝物はあ~ちゃんなんだよ?


ほら、あたしたちの海賊船が見えるよ、また明日は宝物を探す航海にでようよ。






最終更新:2008年10月09日 23:45