綺麗な孤をえがいてリングに吸い込まれたバスケットボール。
その瞬間、笛の音が高らかに鳴り響いた。
「…負けた」
「お疲れ〜」
まさかの敗北…ここにきての敗北…準決勝だったのにー!くそー!
「惜しかったね」
「まさかの逆転負けだなんて…悔しいよ!ゆかちゃん悔しいよ!」
「うん、ゆかも悔しい。」
「…こうなったら裏工作しにいきますか?」
「それ最低。負けは負けだから仕方ないよ。ほら、バレーの応援行こ?」
「ですよね」
そうだ負けは負けだから、いくら色仕掛けしたって大金はたいたって、負けは負けだ。
そんなことしたら色んな意味での負け組だよ。
ただの球技大会くらいで人間の負け組にはなりたくないよね。
「バレー決勝だって」
「決勝?!すごいねあ〜ちゃんさすが!」
そう、バレーにはあ〜ちゃんが出てるんです。ふふふ、よーしのっち力いっぱい応援しちゃうぞ。
「同時進行だからもう始まってるよ。のっち早く早く!」
「わっ、ちょ、待って」
さっきまでバスケで走り回ってた身にここへきての10mダッシュは辛いっすよゆかさん!
「ゼェゼェ」
「あっ、あ〜ちゃん出てるよ」
「ゼェゼェ、がっがん、ばれ」
「のっちも頑張れ」
優しく背中をさすってくれる。もう、こういうところが好きだって言うんよ。
「お水飲む?」
「ありがと」
カボガボ勢いよく、差し出されたペットボトルの水を飲み干す。
ピッピー!
「あ、終わった」
「えっ!マジで!」
試合終了の笛がまた響いた。ちょっ、のっちここ来て水飲んだだけじゃん。
てかどっちが勝ったの!?
わぁっと歓声が上がったのは、のっちたちのクラスだった。
試合に出てたメンバーがコートの上で円になって喜んでる。
勝ったんだ。やったー!
おめでと!おめでとあ〜ちゃんおめで……泣いてる?
もちろん嬉し涙なんだろうけど、あ〜ちゃんが泣いてる。
泣き顔も涙の雫もすごくキレイだった。
キレイだったから、動けなくなった。
つづく
最終更新:2009年08月01日 23:04