「とりあえず、そこら辺に座ってよ。今、お茶いれるからさ。」
お茶をいれにいこうとしたら、急に腕を引っ張られた。
「ぅわ!ビックリした。どうしたの?」
「……ごめんね。」
「え?何?どうしたの?」
ゆかちゃんが謝っている状況が、今一つ分からないでいると
ゆかちゃんがポロポロと涙を流しはじめた。
「え、え?のっち何かしちゃった?あっ!もしかして、お茶なんかじゃなくてアイスの方が良かった?」
「ちがっ…そんなことじゃなくて…。」
ゆかちゃんの涙は止まらない。
着ていたパーカーの袖で零れる涙を拭ってやる。
「ゆかね、今まで…のっちにヒドいことしてた。今まで、のっちを騙してた。」
ヒドいことって何?
思い当たること何もないけど…
騙してたって?
もしかして、ゆかちゃんの名前って樫野有香じゃないとか?
もしかして女じゃないとか?
それ以前に人間じゃないとか?
いやいや、そんなことあるわけない。
ゆかちゃんの一言で頭が混乱している。
「ゆかね…のっちのことが好きなの。」
「……えええー!!!??」
突然すぎて頭がついてこない。
ゆかちゃんがのっちのことを好き?
じゃあ、のっち達は両想い?
「でも、あたし…のっちのこと好きになる資格なんて無いの。」
何で、何で?
両想いだよ、のっち達。
「のっち、彼氏いるでしょ?」
「あ、うん。でも…」
「その人ね、あたしが頼んだの。のっちと付き合ってって。キスもエッチもしないっていう条件つきで。」
何だ…そんなことか。
「そのことなら知ってるよ。正確に言うと、今朝知ったんだけどね。」
「え…ウソ…。」
「電話があってさ。朝に、彼から。」
変だと思ってたんだ。
付き合って半年も経つのに、キスの一つもしてこないから。
まさか、ゆかちゃんに頼まれてたなんて思いもしなかったけど。
「ゆかちゃんの話はそれだけ?」
「う、うん。」
「じゃあ、次は、のっちの番ね。一回しか言わないから、ちゃんと聞いてね。」
ゆかちゃんの目をじっと見つめる。
「ゆかちゃんが好き。世界で一番、誰よりも愛してる。」
「…いいの?好きな人のこと騙しちゃう、ゆかなんかで。」
「うん。いいよ。」
惚れた弱みだもんね。
どんな、ゆかちゃんでも大好きだよ。
「…のっちぃ…。ゆかも…好き。」
あ、ヤベ。
また泣いちゃったよ。
涙を舌でペロッと舐める。
そして、また じっと見つめる。
ゆかちゃんの頬に手をやり、キスをする。
ゆかちゃんが、優しくはにかんだ。
「…可愛すぎ。」
ギュッと抱きしめてやる。
と、ゆかちゃんも抱きしめてきた。
「…ゆかちゃん。今ね…最高に幸せ。」
「…うん。」
見てるだけの恋じゃなくなった。
叶わない恋なんかじゃなかった。
怖くて…怖くて…踏み出せなかった、細い綱渡りのような道。
今、やっと…一歩進んだよ。
今は平気で世界を敵に回せる。
怖がってたら、永遠に前に進めなかったよ。
あ〜ちゃん…ありがとう。
おかげで、のっちは今、最高に幸せです。
最終更新:2009年08月22日 20:38